記憶の保管係

 夕闇が迫る学校の中、短い髪のミステリアスな雰囲気の女生徒がマリの前に立っています。その子は駄菓子が10個ほど入った小さな針金の編みカゴを右手に提げていて、その中からひとつ駄菓子を取り出すとマリに差し出して「あなたの記憶の欠片はこれが全てです。どうぞご堪能ください」と言いました。


 この女の子が持っている駄菓子は、食べると忘れている記憶を取り戻すことが出来るものなのです。マリは受け取るのを躊躇しました。忘れている記憶がどのようなものかは知りたかったのですが、思い出すことには抵抗があったのです。

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