たこ焼き屋さん『たこ風船』

 マリは大切な人に逢うために旅をしていました。目的地は遠く、そこにたどり着くには電車やバスをたくさん使わなければなりません。


 夕方過ぎ、電車から降りてバスに乗り換えるときに『たこ風船』というたこやき屋さんを見つけました。屋台ではなく、大きなお店です。大きな看板に、大きくて不格好なタコの絵が描いてあります。マリは一歩だけ中に入りました。


 たこやき屋さんなのにお店の人はお茶碗に山盛りに盛ったごはんをテーブルの上にたくさん並べています。その様子を眺めている内に、乗り換えのバスが来る時間が迫っていることにマリは気が付いたので、踵を返してバス停へ向かいました。後ろから店員さんの困惑した声が聞こえましたがマリはそのままバス停へ急ぎました。


 外はもう暗く、街灯の無い道だったのでバス停をなかなか見つけられずマリは困ってしまいました。

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