マリの夢日記

高村茉莉

廃ビルのおばけ

 薄い灰色をした廃ビルの中にマリはいました。そこは窓から光が射していてほこりがキラキラ光っています。


 辺りを見回すと真ん中辺りに、なにか、ちいさな白いものがあります。それは微かに動いていて、まるで小さな生き物に白い布をかぶせたような姿をしていました。目を凝らして見ると、それはおばけでした。おばけはせっせと床を雑巾で拭いており、マリが近づいても一生懸命に床を磨きつづけていました。


 マリはしばらくその様子を観察して気が付きました。このおばけは床をきれいにしたいのではなく、何か探し物をしているようです。探し物が落ちていないかをよく見ながら床を雑巾がけすれば、きっと見落としなんてしないでしょう。このおばけは賢いなあ、とマリは感心しました。

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