第45話 部屋
目の前には……人、人、人……。
だったのに、こちらを見て姿が変わる。目が爬虫類のソレに。腕は銀色に変色して行く。
こんなに一度に相手なんてできない!
後ろに下がっても逃げ場はない。ダメ元で周りを見回してみる。右手に扉が見えた!
頼むスーツ、機能してくれ!
俺は右手の扉の右手にあるボタンに向かって走る。スーツは機能していた。あっという間にボタンを押して扉から外に転がり出る。
俺が扉から離れたからだろう扉が閉まる。扉が閉まる隙に出てきた奴らは抜いた刀で何とか切り終えた。
ガン! ガンガン! ガン!
向こうから扉を攻撃している……が、しばらくして音が収まった。な、なんだよ……これは……ここは……?
俺が転がり出た先は廊下になっていた。目の前には木製の重厚な扉があった。廊下の左はすぐに突き当たりになっている。右は突き当たりに扉がある。それはさっき開けたものと同じような扉だった。目の前のドアだけが特別だった。どうしようか? ここにずっといるわけにもいかない。とにかくここがどこだか確認しないと。
今度は目の前のドアを開けてみた。
ガチャ
音を立ててドアが開いた。さっきの無音で開いた扉よりもずっと人の温かみを感じる。
中を見渡してさらにそれを感じた。そこは部屋だった。普通……ではないか。でも、さっきよりもずっと人らしい部屋だ。そこにはベットがあり机があり壁には本棚とクローゼットがあった。
そして窓にカーテンがかかっている。重厚なカーテンが。
窓に近寄りカーテンを開けてみる。……コンクリートかよ。ってことは……ここは地下ってことかなのか?
そして、他にドアが、これも入り口のドアと同じようなドアが一つあった。そこを開けるとトイレとお風呂があった。海外の映画でよく見かけるタイプのものだった。
地下であるという事を除いては、なんだか普通過ぎて肩透かしを食らったようだった。
その間にも息は整い傷も回復してきたんだろうか。動きがよくなってきた。
ドアを出て廊下に出る。他の扉も確かめないと。
まだ見ていない部屋がある。一番奥の部屋だ。もうかなり普通に歩けるまでになっている。行かないと……。行って見なければならないんだろう。こうなったんだ。自分の胸を見てみる。あの時そこを刺されたんだろう。傷はかなり回復している。もう行けるはずだ。
奥の扉までいろんなことを考えて進む。いったい何が待ち受けているのかを考えて……。
扉の前。この扉にも取っ手なんかはない。扉の右側に同じくボタンがある。押せってことだよな。
ボタンを押す。
この扉もさっきと同じように静かに開いた。
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