第43話 襲撃開始

 どれくらいこの永遠とも思える時を過ごしたんだろう。もう表示される通りに眠り、食べ、そしてゲームをする。なにもしていないのと同じ時を過ごしている。あれからどれくらい経ったんだろう。もう、敵が現れるなんて、思いもしなかった。ずっとここで永遠に俺は無駄な時を過ごすんだろうとなんとなく思い始めていた時だった。

 ゲームの画面がいきなり切り替わり、探知機の画面へと変わった。点滅が現れてどんどんと増えて行く。

 最初何が起こったのかわからなかった。それほど俺は警戒するという気持ちを忘れていた。警戒の音が鳴り響くなか、ようやく気持ちが切り替わる。

 ベットから立ち上がり、ずっと置きっぱなしだった装備や武器を身につける。メガネをかけるとパネルと同じように点滅がある。


 ドンドン


「樹? 用意出来た?」


 レイナの声だ。


「ああ、行ける」

「じゃあ、向こうで」


 ブゥオン


 何だか懐かしいとさえ感じる音がした。レイナ、刀持てるようになったのか……。メガネのフレームに手をかけるが……向こうに翔子がいるかもしれない……。俺は……できるのか?

 ためらっている場合じゃない。時間があれだけあっても結局決心などつかなかった。レイナが行っている。ヒナタもそうだろう。もうこれ以上仲間を失いたくない! 俺はメガネのフレームに触りボタンを押す。




 どこだろう? 大都市であることには間違いない。多分死体の増量を狙って、人口の多い場所を狙ってきているんだろう。刀を取り出し切りつける。久しぶりのこの感覚。どれくらい経ったのかはわからないが、博士がスーツを脱ぐ事を許可しなかったんだから、そんなに経ってはいないのかもしれない。

 レイナとヒナタの居場所を確認する。人はもう逃げたか殺られて消えたかどちらかだろう。敵を切りながらも銃が使える場所を探る。

 そこか!

 敵を切りつけながらも銃が使える場所まで移動する。

 敵の数は多い。俺が無駄に時間を過ごしている間に、こんなにも死体を集めていたんだ。心の中で揺れ動く。翔子に似た姿を見ると。だから、早くこの銃を使ってしまいたい。これならばわからないから。確認などできない。瓦礫の中に埋れてしまうんだから。


 やっとたどり着いた。刀を左手に持ち替えて銃を取り出す。


 ズギューン

 ドゴーーン


 ズギューン

 ドゴーーン


 ズギューン

 ドゴーーン


 砂煙をあげて建物も破壊しながら俺は引き金を引き続ける。見たくないんだ。誰であろうと……。


 ズギューン

 ドゴーーン


 ズギューン

 ドゴーーン


 ズギューン

 ドゴーーン


 メガネの点滅は減少を続ける。……意味があるんだろうか。死体を盗み兵隊を作りあげる相手にこんなこと。


 迷いがあったからか。翔子のことを、世界中の死体のことを考えていたからだろうか……。


 ブシュ


 背中に衝撃を受けてその後俺は意識を失った……。

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