第41話 当番
やる気のないゲームしていると、どんなに眠くなくても眠れるもんだな。気づけば眠っていた。目覚めるともう少しで次の食事の時間だった。俺はパネルを元に戻した。とくにゲームの結果を見たいとも思わなかった。どこで眠ってしまったんだとかも、どうでもいい。
俺が当番だ。早めに行って用意する必要がある。俺はキッチンに向かった。廊下は静かだった。外の音が一切聞こえないから異様な静けさだ。こんなに静かな世界にいた事なかったかもな、今まで。
リビングに入ると自動で電気がついた。キッチンに行って非常食を漁る。特に食べたいと思うものもないが、一応それなりに興味が惹かれた缶詰や非常食を取り出していく。お皿にあけて、レンジで温めたり、お湯を沸かして温めたりして、食事の準備をしていく。
本格的な食事が買い出しで始まったら俺が作れるのってカレーぐらいなんだけど……いいのかな? そういう日が来るって想像も出来ない。ここで普通に暮らすなんてまだ考えられないな。
ガチャ
レイナが部屋に入って来た。
「ちゃんとできてるじゃない」
レイナがすぐにキッチンの俺の様子をチェックしに来た。
「ああ、さっきヒナタに教えてもらったから」
「そう。ヒナタにね。うん。そう」
多分ヒナタがそこまで出来るようになったことに安心したんだろう。やっぱり二人は別々の時間を過ごしていたみたいだ。
すぐにヒナタも博士もやって来て食事が始まり終わった。
静かな食事の時間はそのままだった。博士はさっさと食べ終わり、研究室へと去って行く。きっと敵の正体や居場所を探っているのか、それとも新しい装備や武器を開発か改良しているんだろうか。
今度は食器を運んでまた部屋へとすぐに戻った。やっぱりまだまだ普通になんて出来ないよ。
また始めるさっきのゲーム。今度はアラームをセットしておく。また寝てしまいそうだ。俺ってここにいると寝てばかりだな。かと言ってトレーニングするわけにもいかない。襲撃がいつなのわからないからだ。トレーニング疲れのまま敵の前に出るわけにもいかない。フッ。結局トレーニングは三日も続かなかった。翔子の言った通りだったな。
時間いっぱいまでどうでもいいゲームを続ける。何種類かゲームを変えてやってみたけれど、頭を使わずに出来るゲームの方がいいみたいだ。眠気は来るもののさすがに睡眠は足りているんだろう。眠ることはなかった。かと言って映画なんて観る気にもなれない。いつになれば通常になり、あちらに戻れる日が来るのか……そんな日など想像も出来ない。
そろそろリビングに移動しようと思ってパネルを元に戻して立ち上がると、
トントン
ノックの音が鳴り響く。まだ時間に余裕があるのに……
「樹君、食事の前に話があるんだ。リビングに来てくれるかい?」
ノックの主は意外にも博士だった。
「あー、はい。すぐ行くから」
話って何だろうか? 悪い事ばかり続いている。急な博士の話……いい話とは思えないけれど……。
俺は部屋を出てリビングに向かった。
リビングにはソファーにヒナタとレイナ、それに博士がいた。リビングに広がっている食事の匂い。もうレイナは次の食事の用意をしていたんだろう。それを止めてまでの話ってなんの話なんだろう。
俺も空いている場所に座る。ソファーは広いので四人座ってもまだまだゆったりとしている。
「博士、話って何?」
どんな話なんだろうか? 博士の表情が暗い。
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