本日は快晴なり

NWO

第1話 愚か者

ある日、老いぼれた老人が路上に横たわっている幾重にも重ねられたダンボールの中から死体として見つかった。

警察は身元不明の遺体として処理したようだが、周辺のホームレス仲間は口をそろえて同じことを言う。「あの人はねぇ、有名な人の鞄持ちだったんだよ」


雲一つない、澄み切った晴れ空の中、黙々と現場に規制線を張る警官


後に、周辺の少年グループによる、いわゆるホームレス狩りの被害にあったという事だけがわかったようである。

実はその無残な姿となった物言わぬ老人には生涯、自慢にしていたことがあった。

「いやぁ、あいつはね、馬鹿だけど天才だ。まったくたいしたもんだよ」

その言葉から読み取れるように、どうやら自分の事を自慢している様子ではない。

「俺はあいつの鞄持ちで幸せだったよ。」・・・


前日まで一緒にごみ箱から漁ったビール缶で明け方まで飲み明かしたホームレス仲間は証言する。

「自分の事はほとんど話さないマサさんでも、あの人の話になると目を輝かせて話してくれるねぇ。いつも口にしてたよ。本当かどうかわからないけどさぁ」


これは、「愚か者」こと ラジオ大好き少年鈴木隆一と、その友人佐藤則正の物語である。





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