鉄と私と貴方と。

 雪に覆い隠された大地には、屑となった鉄塊が夏の野原の花のように、不規則な列を織りなしている。

 破壊された兵器は、野原に剥き出しとなった岩のようであり、ここが激戦の地となったことを、貫禄のある姿で訴えてくる。けれど、今は悲しいほどの静寂である。戦車が行軍し、大地を抉った跡ですらも、雪が覆い隠している。

 敵弾を受けて、前方が吹き飛んだ戦車の上に彼女らは座り、雪雲同士がせめぎ合っているような空を眺めていた。

「屑だらけ」

 金髪の彼女は、スコープを覗きながら、周辺を見渡す。

「うん、屑だらけ。争ってきた歴史の跡」

 スコープを覗く彼女を横目に、髪の長い、黒髪の彼女は言う。

 風は微弱で、雪は縦を描きながら永延と、降り続けている。

 昔、黒髪の彼女は永延と降り続ける雪を「涙の結晶みたい」と例えた。

 涙の結晶は血塗られた戦場を、忘れさせようと、故人の儚きも散った思いでは無いかと思えた。

 黒髪の彼女は、傍らに置いてある狙撃銃を掴み、スコープも覗かずとして、灰色の太陽を拒んだ雪空に、発砲する。

「そんなに大きな音を出すと気づかれちゃう」

 金髪の彼女は、構えられて銃口が空を向いている狙撃銃の銃身を、白い雪のような手で掴んだ。その手は銃への恐怖心が完全に拭われており、彼女もまた、

 

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散文詩集 四季 巡 @shikimeguru

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