眠りを望まれ眠りについて

目覚めを望まずに目覚めた


満月光るある夜に

お姫様は塔から落ちた


会いたい人に会うために


めでたし

めでたし


ちくり

ちくり

あの人が植えたはずの薔薇

ちくり

ちくり

あの人が植えたはずの薔薇の棘

ちくり

ちくり

私の体から真っ赤な血が流れていく

ぽつり

ぽつり

涙を流して両手を月にのばして


あぁ

会いたいなぁ


めでたし

めでたし


のばした手を

誰かが

つかんだ気がした


めでたし

めでたし


めでた






黄色い黄色い薔薇たちの

一部が赤く染まったけれど

銀色髪の娘の体

どこかに消えて見つからなかった




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