第6話
あれからかれこれ六日が経過してしまったが、ようやく見つけることができた。まさかこんなに離れている場所にいるとは。
これは無償だと割に合わない。かなり疲れた。
「ルゥ様、昼食の準備ができましたが……、そろそろ休まれてはどうでしょうか」
丁度いいタイミングでリルミムが来た。腹も減っていたし、休みたかったところだし。
「リルミム、出かける準備をしてくれ」
「はい、ようやく見つかったんですね!」
リルミムはうれしそうに部屋へ戻ろうとし、ぱたと足を止めてこちらを振り返った。
「あの、何故その子の父親は帰らなかったのでしょう」
「なんで?」
「もし何か家族に言えないような事情でいなくなったとしたら、それを知った家族は一体どうなってしまうのかなって」
「それは僕らが知っていい事情じゃないんだよ。父親が生きてどこにいる、という事実を家族が知ることができる。それでいいじゃないか」
「ごめんなさい、余計な気を使ってしまって……」
「いいんだよ。リルミムが下世話な好奇心で知りたいわけじゃないのはわかっているから。ただ単に心配しているんだよね」
「はい……。それで、もう実は準備できているんです。後は行くだけで」
何日も前から準備していたのだろう。元々リルミムは荷物が少なかったし、さほど時間はかからなさそうだけど。
「とりあえず、これだけ渡しておくから馬車を雇うといいよ」
「こんな大金もったいないです! 私なら歩いて行けますから」
「リルミム、ここからカルメキ村まで歩いたら、片道一〇日じゃ済まないんだぞ。往復したらどれだけの日数を費やすと思っているんだ。まだやることがあるんだから、早く帰ってきてもらわないと困る」
「ご、ごめんなさい! それでは遠慮なく使わせていただきます」
リルミムには申し訳ないが、これくらいきつく言わないと、本当に歩いて行きそうで怖い。本当にいい子なのだが、それが仇となることも少なくはない。
「それでは行ってきます。なるべく早く帰るようにしますね」
「あまり慌てなくてもいいからね。少しくらいゆっくりしていても構わないよ」
「ありがとうございます。それでは」
ぺこりと頭を下げ、そそくさと部屋を出て行き、暫くすると玄関の開閉音がした。
ひゃっほぅぃ。やっと、やっと一人でいられるぞ!
馬車を使えば片道二日か。リルミムのことだから、ゆっくりもせずにそのまま帰ってくるだろう。それでも四日は自由にできる。
とりあえず今日の仕事をさっさと済ませようか。
ええっと、一通か。楽勝だな。
差出人は……ロート……。これは絶対にルゥだな。
内容は…………これを読んだら、ただちに町へ向かい、図書館で調べ物をして折り返すように、だと?
自分で調べろよ、そんなこと。しかも僕に残された時間は僅かしかないのに。
いや、リルミムが帰ってくるまで、四日はある。一日で済ませればいいだけの話だ。
ルゥは僕の集中力を甘くみているのだろうが、そうはいかない。
僕だって魔術士のはしくれだ。魔法の研究なんて得意分野だからな。
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