第80頁目 ― 36 ― 無人島 ―

   ― 36 ― 無人島 ―


 ずっと、そのU・F・Oを追っていると、私(わたくし)は、寂しく小さくポツンと浮かぶ、岩々が乱雑にゴツゴツとした無人島にたどり着いた。


 なんだろう?この無人島は?

 どうして、こんな無人島に辿りついたのかしら?。

 この無人島に、いったい何かあるのかしら?

 そう思いながら、私(わたくし)はキョロキョロと見下ろしながら周りを見ていた。

 すると、私(わたくし)の視界には、

 アパートの住人六人と、セーラー服を着た女性三人が傷つきながら倒れているのが見えた。


 ------ U・F・Oが着陸すると、そのU・F・Oから、七号室の人と九号室の人と、そして 優紀さんが出てきた・・・と、U・F・Oから出てきたと同時に、逃げるように岩に隠れながら逃げ回わる動作を見せた。

 えっ?、どうして逃げ回っているの?

 私(わたくし)は、とても、かなり、心底 心配をしながら、ひたすら見守っていた。

 

 優紀さんがひたすら逃げている・・・

 私(わたくし)は、隠れながら逃げる優紀さんたちの、その光景がとても理解できなかった。

 えっ?何が起こっているの?

 どうして、みんな逃げているの?

 そして、どうして、あのU・F・Oから、優紀さんが出てきたの?

 いくら私(わたくし)が疑問しても、その疑問は、ひたすら空回りするばかりで、解決はしなかった。

 私(わたくし)は驚きながらも、その光景をしばらく見ていると、男の人が突然に女性を押さえつけて首に刃物を向けた。

 あっ!危ない!。

 えっ?

 あれ?、あの男の人、見た事あるわ・・・

 でも、いったい何処で見たのかしら・・・

 あっ、思い出した!

 あっ!。あの人だ!

 あの殺人事件のあの人だ!。

 でも、あの男に似ている気もするけど、違う気もする・・・

 が、がんばれ!、私(わたくし)の記憶!。

 必死に思い出そうとする。

 ・・・で、でも、顔が多少違う・・・

 戸惑いながらも、記憶を思い出そうとしている。

 いまいち、くわしく思い出せない。

 えっ?、私(わたくし)の記憶の中と、違う顔がいる・・・

 どうしてなの?

 そして又暫く、自分の記憶を追って探そうとする・・・

 いくら思い出しても、似ているだけで、あの犯人とは違う。

 どうしてだろう?、こんなに似ているのに、全然違う。

 も、もしかして、

 もしかして、あの犯人の息子なの?

 あの時の年数からして、犯人の息子かも知れない。

 いや、きっと、息子よ!。犯人の息子よ!。

 私(わたくし)の辿りついた結論は、あの犯人の息子だった。

 たまに鋭い私(わたくし)の感。

 でも、どうして、犯人の息子が?

 私(わたくし)は、その犯人から息子へと繋がる犯行の接点を探した。


 脳をフル回転で、何度も考えてみる私(わたくし)。

 でも何度考えても答えが出なかった・・・

 分からない・・・、どうしても接点が分からない。

 いくら考えても、分からない私(わたくし)。


 そして、ついに諦めて、凄く深くタメ息をつく私(わたくし)。

 ま、まぁ、いいかぁ。

 まぁ、そんな事は、どうでもいいのよ。

 私(わたくし)は、答えが見つからなくても、いずれ分かるだろうと思い、お得意の軽い気持ちが能天気になり、全然気にしない事にした。


 そう思っているうちに、私(わたくし)は数十分浮遊しながら、その一部始終の、その暴れている男の人の光景を目にしている。



 ------ オレが円盤から出ると、勇次が真菜美さんの背後から腕を回して、首を絞めていた。

 かなり、真菜美さんが、息が出来ないほど苦しがっている。

 思わずオレは、足元の小石を拾って腕めがけて勇次に投げつけた・・・

 すると、その飛んで行った小石は、偶然にも勇次の腕に

 ガッ!!、

 と、当たり、

 勇次は、真菜美さんの絞めている腕を離した。


 小石を当てられた勇次は、以前見た時よりも、顔つきが変わっている気がした。

 い、いや、全然まるっきり、まったく違う顔だ!。

 まるで悪霊にりついているみたいに・・・



 ------ えっ?あれは!? 

 私(わたくし)は、その光景に驚く。

 あれ?、憑りついているのは?

 あの男に憑りついている化け物は?・・・

 あ、あれは、もしかして?

 なんだったかしら?

 私(わたくし)は、その化け物が思い出せなかった。

 いくら考えても、一切思い出せない。

 脳をいくら、回転させても、やっぱり、思い出せない。

 えっっとぉぉぉ・・・なんだったかしら?


『レミーヌ。あれは、死界(デッド・ワールド)から逃げ出している悪魔です。』

 その時、私(わたくし)の前に現れた伯母様(おばさま)。

『伯母様(おばさま)・・・逃げた悪魔ですって?!』

 その時、やっと私(わたくし)は逃げ出した悪魔だと気づく。

『下等動物を追うから、こんな目に合うのです。

 まあ、これはこれで、高い評価を授けましょう。

 とりあえず、探していた逃げ出した悪魔をやっと発見が出来て、未記入の報告書がこれで完成します。』

『報告書?伯母様(おばさま)。最近いないと思ったら、あの悪魔を探していたの?』

『そうです。とりあえず、下等動物の活躍を見てから、その後の報告書をまとめて提出する事にします』

 えっ?。伯母様(おばさま)、でもどうやって捕まえるの?。

 私(わたくし)は凄く疑問した。

 



 ------ 勇次の顔が、どんどんと化け物になっていく・・・

 みるみるうちに、身体(からだ)も進化して、デカくなっていく・・・

 いったい、勇次に何が起こっているんだ?

 でも、どうして、こうなった?


 オレは、化け物になった勇次が真菜美さんをめがけて、メガトン張りのパンチを振り落した。

 オレは真菜美さんの危険を感じ、

「真菜美さん逃げろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 と、オレは声が枯れるほどの大声で必死に叫んだ。


 ドガガガガがーーーン! 

 ズッガァワワワワ―――ン!

 

 真菜美さんの近くの岩が、爆発するようにクレーター並みにえぐった。

 と同時に、紙一重で真菜美さんに飛び込み、救ったアフロ教授。

 転げながらも抱きかかえて真菜美さんを救い、真菜美さんの安否を確認する。

「大丈夫だったか真菜美?。ケガは無いようだな。本当に助かってよかった」

 アフロ教授は、助かった安心感が笑顔となり、真菜美さんの頭をやさしく撫でる。

「お、お父さん、助けてくれてありがとう。わ、わたし怖かった・・・

 本当に怖かった・・・。ほ、本当にありがとう・・・」

 真菜美さんの瞳から流れ落ちる、嬉し涙と今までの恐怖感がほぐれた瞬間の涙だった。

 そして、身体(からだ)中が突然に震えあがり、アフロ教授に抱きつき、震えあがる身体(からだ)を落ち着けさせる。


 オレは心配しながらも、真菜美さんを強く守るように寄って行った。

「真菜美さんは大丈夫でしたか?。どうして、こうなったんですか?」

 オレは、真菜美さんが無傷だと分かると、真菜美さんを防御するように両手を広げて、勇次の方を見上げた。

 もう、変わり果てて、怪物となってしまっていた勇次。

 いったい、どうして、こうなったんだ?オレは、そればっかりを考えていた。

「もう、このまま、みんなで突進するしかないですね・・・」

 勇次の姿が、こんな凄くも激しく危険な化け物になっているのに不安を持ちながらも、ビビりながらアフロ教授が言う。

 はっ?!。今なんて言った?

 アフロ教授はなんて言った?

 突進?。

 えっ?何言っているんだ?

 こんな危険な状態なのに突進するのか?

 アフロ教授は、何をいったい考えているんだ?

 オレの、この切羽詰まった危険な状態では、アフロ教授の言葉が理解不可能だった。


「状況が、かなりヤバくなっているんですが、突進して倒すんですか?

 いや、倒せるんですか?。どうやったら倒せるんですか?

 教授!、どうやったら、突進できるんですか?!」

 オレは、身近に迫る、恐怖と高鳴る心拍数が、全身を震えただせる。

 や、やばい、恐怖過ぎて身震いが止まらない。

 身震いが、オレの中で変なリズムでサラウンドする。


 そして、勇次が強烈な奇声を上げて、足で岩や山を砕きながら、オレたちに近づいて来る!・・・

 


 

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