第81頁目 ― 37 ― スピリット ―

   ― 37 ― スピリット ―


 オレは、こんな化け物に立ち向かえるのか?

 オレは必死になって悩んでいた。

 こんな、20メートル以上はある、巨大化した化け物だぞ!


 オレが悩んでいると、倒れていた住人達が次々と立ち上がりだした。

 えっ!、いったいどうしたんだ?

 あんなに身体(からだ)じゅうに傷を追っているのに・・・

 見た目は、HPもMPもゼロの状態だった。でも僅かな体力は残っていたらしい。

 這い蹲りながら、岩に手を掛けて立ち上がった。


「て、てめぇぇぇ~~!、おまえ一人で戦うなんて許せねーー!

 俺様たちも参戦するぜ!」

 まるで、墓場から蘇ったように、倒れていたタメ口野郎が起き上がった。


 えっ?!。はぁ?。

 起き上がったよ!。いきなりどうしたんだ?。

 なにか、訳の分からない自作の仮面を付けているし・・・

 もしかして、戦隊ものの仮面を作って被っているのか??


 そして、タメ口野郎が起き上がり、

 怪我もしていない肩をいかにも痛そうに押さえて、

 ポーズをしながら、タメ口野郎が名乗りの口上を叫けんだ!。


「いくら、倒されようと再び参上!特撮大好き、

 トクサツ・ブラック!!」


 続いて、大きな図体ずうたいで起き上がった、怪力モアイゴーレムが、

「悪を倒し、正義となす!! フィギュア・プラモ大好き、

 フィギュア・ブルー!!」

 と言って、ポーズをとる。


 更に続いて、おしめギツネが起き上がる・・・コスチュームが、かなりピッチピチ過ぎてキツそうに押さえながらポーズをとる。

「女性の敵は絶対許せない!。私の武術で悪を絶つ!

 ブジュツ・イエロー!!」


 次から次へと口上に続き、ほっそりとした身体(からだ)は、まさにモヒカンガイコツ。なんとか必死に起き出し、ポーズをとる。

「小事は大事!。ガラクタ・スクラップ大好き、でも女性の中古はご勘弁!。

 モヒカン・グリーン!!」


 引き続き、七・三饅頭が、足の小指だけをぶつけて負傷しながらも立ち上がった。

「税金が高いとなげきたい!!、もっと世界にヲタクを広げたい!

 ヲタク・レッド!!」


 そして、最後に管理人さんが・・・

 あれ?、立ち上がらない・・・大丈夫か?管理人さん。

 なんとか、頑張れ管理人さん。

 オレが心の中で声援を送っていると、みんなに支えられながら管理人さんが立ち上がった。

「老体を痛めつつも戦う正義! 年金暮らしと生活保護で暮らすこのご時世。

 ロウジン・グレー!!」


 ってか、グレーかよ!。もっといい色選べよ・・・ってか、年金と生活保護かよw。


「われら、六人! 六人揃って!

 この地球を守る、

 微妙戦隊!スピリット レンジャー!!」


 やっと口上が終わり、一斉に六人が並び、六人の声が揃った。


 が、六人は、かなりとても疲れているせいか、

 勇次を倒す前に、順番に一人ずつその場に倒れてしまった・・・

 やっぱり、HPもMPもゼロだったかww


 見ていて、とても情けない住人達の光景だった。

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