第74頁目

 気づかれないように尾行するオレ。

 隠れながらも必死に追う。

 勇次が、人気ひとけの無い道ばかりを選んで真菜美さんの口をふさぎながら連れて行く・・・


「五号室の人。アイツは何処にいます?」

 と、突然オレの後ろで声がした。

 え゛っ!

 オレはいきなりの後ろから聞こえる声に驚き、振り返る。

 すると、そこには、七・三饅頭が立っていた。

 はぁ?

 何故?どうして、いるんだ?

「棺燃(ひつぎ)さんから連絡入ったので、近くにいたので駆けつけました」

 は?。えっ?。連絡って?

 さっきのケータイは七・三饅頭に連絡していたのか?

「あ、あのぉぉぉ・・・何かあったのですか?」

 オレは、少しずつ顔を引きつらせていた。

 も、もしかして、オレはとても重大な事件に巻き込まれているのか?

 い、いや、真菜美さんがあんな状態からして重大事件だから、

 やっぱり、重大事件かも知れない!


「あの四人組ですね。五号室の人」

「あ、は、はい。そ、そうです。」

 オレと七・三饅頭は電柱に隠れながら、状況が全く把握できないまま尾行して状況を見ていた。

 

 そうしているうちに、港にたどり着いた。

 この港って、フライド野口さんと来た港だ。

「逃げるつもりですね。アイツたちは・・・」

 七・三饅頭が真剣な顔で言う。


 勇次は、真菜美さんに口をふさぎながら、強引にモーターボートに乗せた。

 その後に、あのJK三人組も一緒に乗り込んだ。

 一体何処に行こうとしているんだ?

 港の倉庫の角から覗き見ていると、勇次たちのボートが行ってしまった・・・

 これって、一番ダメなやつだ!

 ボートで逃走されたら、尾行できないじゃないか!

 これから、いったいどうすればいいんだ!

 真菜美さんを助けられなかった事に悔やむオレ。

 その場にうずくまって、絶望感でいっぱいになる。

 

 すると、オレの頭の上で、

 ブォォォォン・・・

 と羽根の羽ばたく音が聞こえた。

 えっ?

 誰かドローンでも飛ばしているのか?

 その音はオレの頭の上で何回か旋回を続けると、

 そして、その音は、オレの近くで止まった。

 あれ?止まったぞ。音が止まったぞ。

 オレは音を気にしながら、ふと七・三饅頭を見上げる。

 すると、七・三饅頭の手の平には、カブト虫がいた。

 えっ?

 カブト虫?

 どうして、カブト虫?。

「えっ?カブト虫?」

 オレは首を傾げて疑問する。

「教授の作った、追跡するカブト虫です。今、受信機の付けたカブト虫があのボートを追跡させます。」

 そう言うと、七・三饅頭は、手の平からカブト虫を飛ばし離し、勇次たちのボートへと追跡させた。

 えっ?

 アフロ教授の作ったカブト虫?

 そう言えば、部屋の中に色んなロボットがあった。

 虫のロボットもあったのは、微かに覚えはいる・・・

 で、でも・・・

 でも、何故にこんな事を?

 いったい、オレの周りで何が起こっているんだ?

 オレは驚きが止まらなかった。

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