第73頁目 ― 31 ― 勇次 ―
― 31 ― 勇次 ―
さて、街にでも散歩に出るか・・・
オレは坂を下り、交差点を右に曲がり、街の中へと入って行く・・・
そして、見つけたコンビニに入り、弁当を買う事にした。
ドアが開き中に入ると・・・
あれ?
見た事ある店員だぞ!
入ったと同時に、
「ここで合ったが百年目。いらっしゃい!」
お、おい、おまえか!。
タメ口野郎かい!。
で、でも、タメ口野郎が何故ここのコンビニにいるんだ?
また、コンビニ変わったのか?
とりあえず、無視して、早くこの店を出よう。
何もないうちに、早く出よう・・・
オレは、タメ口野郎をチラチラと気にしながら適当に弁当を選ぶ。
弁当を手に取り、レジに並ぼうとすると、・・・レジは二つ。でも一つのレジには店員がいない。
仕方が無く、タメ口野郎のレジに付く。
目を合わさず、顔を反らしていると、
「温める?どうする?フォークと箸どっちにする、若者」
と、店員らしくない口調でオレに言う。オレは思わず、
「温めてください。フォークの方で。」
と言ってしまった。
タメ口野郎が冗談で言っているのかと思えば、本当にフォークを温めだした。
オレは、そんな行動に呆れながらも、ふと、外に目を向けると。
すると、オレの視界見えたのは、勇次と、あのJK三人組の姿だった。
えっ?
あいつら何しているんだ?
JK三人組に引っ張られる真菜美さんの姿もあった。
えっ?。マジ?真菜美さんもいる・・・
でも、強引に引っ張られて嫌がっている感じもする。
こ、これってもしかして、捕らわれているのか?
その時、嫌がる真菜美さんに勇次が何度も往復ビンタを浴びせ、突然、真菜美さんがぐったりとしてしまった。
げっ!、これは?DVか?。
おいおいおい、暴力するんじゃねーよ!。
オレの真菜美さんに暴力振るうなよ!。
そして、ぐったりとして真菜美さんは引きずられるように、強引に連れられて行かれた。
今まで見た光景のうちで、最悪の光景だった。
この後、とてもヤバい雰囲気がする。
も、もしかして、このまま真菜美さんは・・・
オレの頭の中で不安が過ぎる。勇次がもし、殺人犯としたら、今この状態の真菜美さんが危ない!。
オレは、ふとノロノロとレンジを見つめている、タメ口野郎の後ろ姿を見る。
おぃぃぃぃ!。何分レンジでフォーク温めているんだよ!
すっかり溶けているじゃねぇーかよ!。
「早く、レンジ終われよ!レジもおせーーーよ!」
思わず口から出た言葉。タメ口野郎は必然的にレンジが長い。過去におにぎりを爆発させたぐらいに長い。
早く終われよ!
こんな状況で長くすんなよ!
「あっ!おまえは、五号室の奴!」
タメ口野郎が、やっとオレだと気づいた。
おせーよ!
今やっと気づいたのかよ!
「やばいんだ!真菜美さんが誘拐されそうになっている!」
オレはチラチラと外を確認しながらも、思わず興奮して叫ぶ。
早く、急がなければ・・・
真菜美さんが危ない!
「えっ!?。真菜美さんが?!」
タメ口野郎が突然驚いて、外の方をキョロキョロと見渡す。
はぁ?
おまえ、真菜美さんを知っているかよ!
どうして知っているんだよ!。
オレが疑問に思っていると、
「はい。おまたせ!。
おい、五号室の奴。時が来た!・・・このまま、尾行追跡してくれ!」
タメ口野郎が、温めた弁当とフォークを袋に入れて渡し、いきなりオレに命令をしてきた。
はぁ?
えっ?
いったい何事なんだ?
いったい、何がおきたんだ?
えっ?尾行?追跡?
いったい何の話しだ?
タメ口野郎が、ポケットからケータイを取り出し、いきなり誰かと話し出した。
えっ?
誰と話しているんだ?
それよりもオレは、真菜美さんがかなり気になる。
これは、尾行するしかないのか?
よし、尾行しよう!
するしかない!
オレは、慌てて外に出て、言われたとおりに尾行する事にした。
コンビニで買った冷やし中華は、後で食べるとしよう・・・
急いで走って、追いつかないと・・・
あれ?、何か袋が暖かい感じがする。フォークの溶けた温かさかな?
オレは、右手で持っているレジ袋の中を、疑問を持ちながらも確認する。
は?
えっ?
とても温かい・・・冷やし中華が、とても温かい・・・
「ってか、おぃぃ!。冷やし中華を温めたのかよ!・・・あのタメ口野郎ww」
ムカつきながらもオレは、温かい冷やし中華を持ちながら尾行を続ける。
・・・でも、タメ口野郎の言っていた『 時が来た! 』ってどんな意味があるんだ?
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