第49頁目

 次にオレは、モヒカンガイコツへとあいさつをしに、近寄り話しかける。

「あのセスナ機って、どうなされたのですか?」

 多少フレンドリーになっていたオレは、

 ニコニコ笑顔で、モヒカンガイコツのコップにビールを注ごうとすると、

「あれれ、五号室の人。これはこれは、ありがとう。でもウィスキーしか飲まないんだ。すまんです」

 と言って、簡単に拒否された。

 げっ!この人、顔に似合わずウィスキー飲むのかよ!。

 どっちかと言うと、梅酒しか飲まないタイプだぞ!。

「そ、そうですか・・・ウィスキーオンリーなんですかぁ?」

 オレは、持っているビールを下げ、ウィスキーの瓶を手に取るが、ウィスキーや焼酎は、水とのブレンドの割合が、人によって違う事に気づき、そっと戻す。

 まぁ、まだグラスにウィスキーが入ってるからいいか。

 まぁ、オレが気を遣って作らなくても、自分で勝手に作って飲むだろう。

 モヒカンガイコツは、ウィスキーの入ったグラスを口元につけ、ゆっくりと味わいながら飲む。

  あれ?、さっき会った時よりも、目の下の熊が余計に大きくなっている気がする。

「あのセスナ機は、知り合いから貰ったんだよ。

 壊れて、スクラップ同様だと言うから・・・」

 えっ、貰ったのか?

 おい!、ふ、普通は貰わないだろうセスナ機なんてw

 それもスクラップって、ただのゴミだろうww


 モヒカンガイコツと、それほど弾まないし広がらない会話をしていると、アフロ教授が、いきなり会話の中に入って来た。

「保池(ぼち)さんは、何でも拾ってくるのが趣味なんですよ。

 まあ、スクラップコレクターとでも言いましょうか?

 まあ、色んなガラクタがたくさん集まって、アパートの周りがスクラップだらけになって、大変困っていますけどねw」

 説明を終えると、別の住人のもとへ行ってしまったアフロ教授。

 あなたは、チュートリアルかい!

 そんなに説明解説が好きなのかい!。

 おせっかいと言うか、便利というか、親切というか・・・

 まあ、説明が無いよりは、あったほが良いとは思うが、

 いきなり、会話の中に入って来て、言いたい事を言って去って行くのはよしてくれ!。

 いるんなら、最低10分ぐらいは居ろよ!。

 けどまた、別の住人と話したら、説明だけのために来るんだろうなぁ・・・きっと。

 ってか、ボロアパートの周りでたまに見かけるスクラップって、全部モヒカンガイコツが拾って来たやつかい!。

 単なるゴミ屋敷じゃねーか!。


 ふと怪力モアイゴーレムに目を向けると。

 ちびちびと、大きな図体ずうたいには似合わないぐらいの黄昏で一人で飲んでいる。それも、お猪口ちょこでお酒を。

 右手にお猪口。左手に・・えっ?、プラモ? 

 も、もしかして、ずっと、一人黙々とプラモを作っているのか?。

 オレが立ち尽くして、怪力モアイゴーレムを観察するように見ていると・・・

 ・・・又再び来ました・・・近くに寄ってきました、説明解説のチュートリアルが。

「暗黒(くらい)さんは、プラモを作ったり、フィギュアを集めるが好きな人なんですよ。自分だけの世界が好きで、宴会でもいつもプラモを作っているんです」

 そう言うと、また去って行った・・・

 おい!アフロ教授!。

 あんた、チュートリアルに称号を変えるぞ!。w

 いちいちそばによって説明するんだったら、ずっとオレに付いてきて、一人ずつ趣味を説明してくれよ!。

 オレは、多少の酔いも回って来て、いちいちツッコむ事に疲れが見えてきた。


 まあ、プラモもイイ趣味だとは思う。

 そっかぁ、プラモかぁ・・・

 って事は、怪力モアイゴーレムって、ヲタクなのか?

 プラモヲタクなのか?

 プラモデラ―?。

 たしか、フィギュアも持っていると言っていたな?

 もしかして、美少女フィギュアばっかりじゃないだろうなあ?

 それにしても図体に似合わない趣味しているなあ・・・

 いかにも、スポーツマンでボディビルをしてますよ。みたいなマッチョ体型なのに、趣味がプラモとフィギュアかぁ・・・ぅーむぅぅ、、、、

 まあ、他人の趣味に色々とケチは付けたくはないが、人それぞれ見た目のイメージがあって、絶対にこんな事やらないだろうなあ?と思う事をやっていたりする。

 人間って、他人を勝手にイメージで見てしまう事ってあるよね。

 これが独断と偏見ってやつか?

 今気づいたのだが、・・・オレってかなり他人に対する偏見が多い事を発見した。


 そしてオレは、ビールを持ち、他の住人へとあいさつしに回る・・・

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