第28話 レッツ・パーティー!
フィリピンでは現場の最初と打ち上げにパーティーをしたりします。
まあ、日本でもやることが多いですが、日本の場合、外で飲むことが大半です。フィリピンでは現場の中でやる場合も多かったりします。
現場事務所に酒と料理を持ち込み、どんちゃん騒ぎ。まあ、その辺は基本的に日本と大差ありません。
飲み物はまずビール。こっちのビールはサンミゲルが有名で(というか、いる間それしか飲んだことない)、小さい瓶のビールで味はちょっと軽め。ビールが飽きたら、ウイスキーってところでしょうか。
アルコールが回ってくると、やつらはこう言い出します。
「スピーチ、スピーチ」
え、スピーチ? 英語で?
無茶ぶりにもほどがあるだろうが!
私の番になったとき、なにをしゃべったかはまったく覚えていませんが、きっと為になる話をしたんでしょう。そうに決まってます。
そして料理。ふつうの料理も出るのですが、こういうパーティーのときに、ここぞとばかりに出てくるのが、レチョン。
豚の丸焼きです。
香ばしく焼けたブタ。もちろん顔つきです。
背中に切れ目が入っていて。肉というより皮を食べる感じ。
うん、香ばしくてうまい。
しかし彼らはそんなものでは満足しなかった。
ブタの頭を外すと、脳みそを食い始めました。
「南野さんもどうぞ」
え、マジ?
ちょっと勇気がいるぞ、これ。
とはいえ、好意で勧めてくるものをむげには断れません。
試しに食ってみると、
うめええ!
そうです。じつは脳みそはうまいのです。
そうとわかれば遠慮はしません。率先して食いました。
この話をあとで若手のK君にしたところ、彼は生意気にもこう言いやがりました。
「南野さん、それ、日本人捨ててる」
ぬあにい? あの海原雄山だっていってるではないか?
子豚の脳みそはふぐの白子に匹敵するおいしさだと!
あれ、子牛の脳みそだっけ?
……いんだよ、こまけえこたぁあ!
あのレクター博士だって、脳みそうまそうに食ってたしなっ!
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