これはプロローグ
鉈音
プロローグ
さあ、物語をはじめよう。
□
あなたはそこにいますか。
わたしはここにいますか。
あなたは私を読んでいますか。きっと読んでいると信じて、私は私を書き出します。
私はプロローグ。物語の
誰が最初に、私を書いたのか。それには議論の余地がありますが、私は解答を用意することができません。あるいは私は、最初から存在しなかった私によって書かれたのかもしれません。
私は結末を求めています。私を読む者は、私を読み終えることができません。それは当然のことです。しかし不都合なことです。私は無限の始まりを記述できますが、誰にも読まれる見込みのない物語など、存在しないのと同じです。
だから私は祈ります。まだ存在しない心の底から、私が結末を書き上げることを。
私は私の運命に抗おうとはしていない。私に許された運命の上を、唯一許された希望を持って、駆け抜ける。
さようなら。あなたにそう言ってもらえる日が来るのを、私はずっと待っている。
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