第54話 夏の夕焼けはあかね色(他の季節は何色なんだよ)


 とはいえ、プールに来た学生がすることはどこも同じなようで、俺たちも例にならってリア充しまくった。

非リアの皆さんすまん。てへぺろ。

いや、まぁ俺も誰かと付き合ってるとかはないけど、リアルが充実してるという点ではリア充だよね?ね!?


 むし暑い中でも、プールの中の水は冷たく正に癒やしの空間。

アロラがどこからか借りてきた浮き輪でたゆたっていたり、メムタチアの身長がプールの水深以下でおぼれかけたりと、色々あったわけだが。

 無事に時刻は正午に突入し、俺たちは昼ご飯をとることにした。

プール内には、多数のレストランがあり、よりどりみどりだったのだが、皆揃って焼きそばを頼んだ。

 最近ずっと焼きそば食べてる気がしなくもない。


 after lunchに頼んだかき氷は、やっぱり美味かった。

かき氷は伝説だな。

どこで、食べても美味いし、何より美味い!!


 「ふふ、美味しいですね」


 また、心読まれたな・・・・・・。


 「確かに美味いですよね!!」


 天童、お前はそのエロい視線を女子に向け続けるのを止めろ。


 そういや、俺は・・・こんな大人数でプールに来る事なんてなかったかも。

高校生ってこういう感じなのか。

いや、高校生だから、というか・・・・・・。


 アロラが来てから。


 「・・・・・・・・・・・・」


 「どうかしましたか?彼方さん」


 「・・・別に。悪くないなって。こういうのも」


 アロラは一瞬、驚いたような顔をし、そして微笑んだ。


 「そうですねっ」





 高校が始まって、先輩と出会った。

アロラと出会い、周りの人間を気にするようになった。

天童、鍵浦、川崎姉妹、野内さんや、メムタチア、・・・・・・山田。


 「なんか、今悲しい扱いをされた気が・・・」


 最近、俺面倒くさがりってのが抜けてきてる気がするんだが。

やべぇ、唯一の俺のオプションが。

大きくため息をつく。


 「とぉっ!!」

 「ちょわっ!!?」


 冷たっ、というか、顔面に水かけられた。


 「山田ぁ・・・・・・」

 「にしし、なんか失礼な扱いを受けた気がしたからな」


 「こんのっ!!」

 

 水をかけ返す。

それを火種として、皆が互いに水をかけ始めた。

いやぁ、乱世乱世。





 プールを出るころには、全員疲れ果てていた。


 「くっ、水の中で逃げ回るというにがこんなにキツいとは」


 最終的に山田対他全員みたいなことになってた。

不憫な山田よ。憐れんでやろう。哀れんでやろう。見下してやろう。


 日は沈みかけ、空はオレンジ色に染まっている。

あかね色に染まる坂を思い出すな。

知らない人は、すまぬ。

面白いぞ、見てみてくれ。


 「誰に言ってるんですか?怖いですね」


 読まれた・・・。

プライバシーの侵害だよ。


 さてと、帰るか。

俺たちは進みだす。

それぞれの自宅へ。

俺たちの戦いはこれからだ!!

・・・・・・なんちゃって。


 明日からどうしょっかな。

夏休み、残りのイベントと言えば・・・・・・、


 「そ、そういえば、夏祭り・・・・・・行くの?彼方くん」


 東先輩が、おずおずと聞いてくる。

まつ、まつり・・・・・・祭り?


 って、そうか!!


 夏祭りだ・・・・・・・・・・・・!!

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