第23話  桃源郷に到着!


 ゴールデンウィーク初日。

そう、東先輩のお家にお邪魔する日だ。

マンションらしいが。

いや、そんなことどうでもいい。

・・・・・・・・・。

「・・・・・・・・・ッシッ!!」

「どうしたんですか・・・・・・・・・?いきなりガッツポーズなんかして、怖いですよ?」

・・・・・・・・・。

まぁ、とにかく、時間だ。

 行こう!桃源郷へ!!

「だから、どうしたんですか?不敵な笑みのつもりかもしれませんが、そんなんじゃ黒の双剣士の格好良さには到底敵いませんよ?」

・・・・・・・・・どんどん毒舌になっていくな、この女神。



 

 そして、とうとうやってきた。

今、俺は先輩の住むマンションの前に立っている。

 うぅぅ、興奮してきたぁ!

玄関ホールで、その部屋の番号を押すと、インターホンのように、その部屋に繋がるらしい。

今のマンションは進んでるんだな。

『・・・・・・・・・はい。東堂ですが』

機械音の向こうから聞き慣れた先輩の声が聞こえてきた。

「あ、先輩、来ました。彼方です」

『あわっ!か、彼方くんっ?ど、どうぞ。上がって、下さい・・・・・・・・・』

「・・・・・・・・・一応、私もいるんですけどね」

横でアロラがブツブツ言ってるのが聞こえてくるが、無視。


 エレベーターで、先輩の部屋がある階まで上がる。

部屋の前でもう一度呼びかけると、数秒後にドアが開き、東先輩が顔を出した。

「ど、どうぞ。上がって下さい・・・」

お言葉に甘えて、靴を脱ぎ、上がらせて貰う。


 「・・・・・・・・・おおぉお」

 思わず感嘆の声が出た。

「あ、あんまり見ないで、ね?何もないから・・・・・・」

と言っても、見てしまうのが男ってもんだ。

 ベッドの上にクッションがいくつかあったり、壁掛けとか、花びんとか、俺の部屋にはないものばっかりだ。

女の子の部屋に上がるのは初めてではないけれど、なんというか・・・。

素晴らしいねっ!

グッと親指を立てる。

アロラは、また何か言うと思ったが、彼女はニコニコと微笑んでるだけだった。

・・・・・・・・・なんか、アロラって人前じゃ、いつも微小を浮かべて るよな。

俺を、女神として、救済対象には見てないと?

 いや、いやいや!今は東先輩の部屋だ!


 あの、ベッドでいつも・・・・・・・・・。

・・・・・・ハッ!これじゃ、変態みたいじゃねぇかっ!

「変態じゃなかったんですか」

ボソッとアロラが呟く。

・・・こいつ、なんか機嫌悪いな。

「え、えと。お茶でも入れるね?」

「あ、ありがとうございます。先輩」

立ち上がった先輩を俺の視線が追いかける。

そう言えば、先輩の私服を見るのも何気に初めてだな・・・・・・・・・。

服がもふっとしてる・・・。

 感想:可愛いです。


 というか、ほんと、部屋綺麗だよなぁ。

端っこにも埃一つ無いぞ。

まるで、ついさっき掃除したみたいな感じ。

流石、先輩。

掃除も行き届いてるなぁ。

「まさに、THE・女子って感じですね。家事の16連撃もお手のものですか・・・・・・」

それ、ストリームだよ。

スターバーストだよ。

「掃除も、タンスなどは雑巾でふくと同時に、殺菌もしている。そして、置かれた消臭剤。決して目立つところには置かず、しかし、影にも置かない。見極めが出来るとは、中々どうして。極めつけはこの床。雑巾がけは勿論のこと、端っこまで、丁寧にゴミを取り除いている。素晴らしい掃除だ」

・・・・・・・・・あの、キャラ落ち着かせてくれませんかね・・・・・・・・・。


 

 まぁ、アロラは放っておいてもいいだろう。

問題は、今日の夕食が先輩の手作りになることだ。

これは、テンション上がるぜ。

心の中で、ガッツポーズ。


楽しみだなぁ、楽しみだなぁ!

あ、俺にもアロラ病がぁ!!



 


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