第11話 合宿:始まり
なんとか合宿に必要な物を鞄に詰めおわった。
アロラも先刻、準備が出来たようだ。
ほとんど初めて着る、学校のジャージを身に纏い、リビングに向かう。
と、そこでは先にアロラが、母さんの作り置きの朝食を食べていた。
俺も、アロラの向かいの席に座る。
「彼方さん、今日は合宿ですね」
「ん?・・・あ、ああ。そうだな」
俺が忘れてるとでも思ってんのか・・・・・・・・・?
「ところで、彼方さん。私、疑問があるのですが・・・・・・」
「なんだよ・・・・・・・・・」
そして、彼女は神妙な面持ちで言った。
「合宿って何をするんですか?」
「いや、ホントないわっ!!なんでなんだよっ!!」
自転車をこぎながら怒鳴り散らす。
あ、ちなみにアロラは、母さんが使っていたママチャリをこいでいる。
女神だから空も飛べるそうだけど、見つかると危険なので止めさせておいた。
いや、そんな事はどうだっていいんだよ。
「お前、班長決めるときスゲぇ仕切ってなかったか!??こういうの慣れてますってオーラ、プンプンだったじゃねえか!!」
「いえ、場を取り締まるのは女神として出来なければならないことですから、そうしただけで・・・合宿なんて言葉、もちろん班長って言葉もですけど・・・聞いたことも」
その2単語についての説明はすでに終わっている。
合宿を知らないヤツに、合宿っていうものを教え込むのは以外と大変だった・・・。
「でも、なるほど・・・。そういうことなら大量に下着や着替えを用意する意図が汲み取れます」
あ、アロラの下着はちゃんと母さんが買ってきてくれたんで。
ていうか、別に興味とかないけどな!
学校につき、集合場所であるグラウンドに移動する。
まだ、集合20分前なのに大半の生徒が集まっていた。
どんだけ楽しみなんだ・・・・・・。
俺とアロラも自分の班の場所に行く。
山田を含め、班員全員がすでにそこにいた。
「遅ぇぞ、彼方ぁ!!」
背後からの青春一本道突っ走り野郎の声に、一睨み返し、列の一番前に座る。
活動班班長の定位置だ。
なんで、半引きこもりの俺が、こんな前列に・・・。
しばらくすると、教師が前に立ちマイクを片手に話し出した。
「えー、と。では生徒会長に見送りの言葉をお願いします」
・・・・・・・・・生徒会長?
確か、アロラのファンクラブを作ったってヤツ。
そういや、見たことないぞ。
多少の興味を持ち、そいつを凝視する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?
1年生の幾重にも張られた視線の中を颯爽と歩き、堂々たる立ち姿で俺達を見つめ返した、そいつは・・・・・・・・・。
そして、凜とした声で話し始めたそいつは・・・・・・・・・
どう見ても、女だった。
第一印象、背が小さい。
小動物みたい。
髪の毛を腰あたりまで伸ばし、耳の少し上のところで、左右にくくっている。
・・・・・・・・・ロリ・・・・・・。
「皆さん、おはようございます。今日から始まる2泊3日の合宿!全員で協力し、迫り来る難関を乗り越えて、思いっきり楽しんで来て下さい!!!」
そして生徒会長(ロリ)は横にずれていった。
アロラのファンクラブ、女子もいるんだ・・・・・・。
しかもロリ・・・・・・・・・。
どうでもいい情報が一つ入った。
その後も、学校長の挨拶や、合宿委員の言葉など、色々とあった。
まぁその間、俺や、他の生徒はずっと体育座りだったわけだが。
・・・この時間って苦痛だよな。
学生なら分かることだ。
そして、バスに乗り込んだ。
一番後ろの5人座席、俺はその左端に座った。
右に、アロラ、山田、同じ班の女子2人、の順で。
よし、目的地に着くまで、寝るか。
こうして合宿1日目が始まった。
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