第10話 しゅ、修羅場?

俺が、合宿の活動班班長になったその後も、休み時間等を使い色々と係を決めた。

放課後を迎えた俺達、というか俺とアロラはイラスト部の部室に向かっている、のだが。

ーーー先輩、いるかな・・・。


 昨日は東先輩がいきなり帰ってしまった。

原因は分からないが、俺か、アロラが何かやらかしたんだろう。急用、だとしたら断りを入れてから帰るだろうし。

 やっぱ、誤らないといけないよな。

隣では、アロラが呑気に鼻歌を歌っているが・・・。


 そう考えている間に部室につき、ドアを開ける。

そこには・・・・・・・・・、

いつものように先輩がいた。

安堵すると同時に、謝らなきゃと思った。

情けない話だけど、何について謝るのか分からない。でも、謝らなきゃ。俺が、先輩を悲しませたんなら、全身全霊をもって謝らなければ!と。

瞬間的に思考がそこまで至る。

そして俺は・・・・・・・・・、跳んだ。

宙を舞い、手足を定位置に運び、体を、地面に、叩きつける!!

「すいっませんっでしたぁあぁぁあああ!!!!」

土下座。

DOGEZA

謝罪、頼み事において、最終奥義。

 怒られることを覚悟の上で、恐る恐る先輩の顔を見る。

 その顔には、『驚愕』の感情しかなかった。


 うん、当たり前だな。


 

俺も、アロラも先輩の向かいに座る。

「先輩、すいませんでした!」

「え、えと、何が・・・かな?というか、謝るなら、私の方・・・だよ。昨日突然帰っちゃったし」

東先輩は済まなそうに頭を下げる。

「はい、そのことで、もしかしたら俺が何かしちゃったんじゃないかと」

「ちっ、違うよっ!!彼方くんが悪いんじゃなくて、あ、も、もちろんアロラさんも悪いわけでもなくて・・・。あれは、何というか、その・・・・・・・・・」

先輩が思い詰めた顔をし、言葉に詰まる。

でも、俺が悪いんじゃなかったのか、良かった・・・・・・・・・。けど、それなら尚更先輩は・・・。


 「でも、いきなりお帰りになられたって事は、何かあったんですよね」

「あ、無理に言わなくていいですからね」

アロラの質問に俺が被せる。

と、アロラのむっとした顔が迫ってきた。

そして、また耳元で、

「なんだか、先輩には優しいんですね。私には厳しいのに」

少し、怒ったような声音でそう言ってきた。

「そりゃ、もちろん愛すべき先輩だからな」

「へー、好きなんですね。先輩のこと」

どないしてん、こいつ。

ストレス溜まってんのかな。

やっぱり、地球を救えっていうミッションを俺が断ったから・・・。

いや、引き受ける気はないけど、まぁ少しくらい優しくしてやるべきか?

「分かった分かった。合宿の時にお前の好きなメニューでも出たら譲ってやるよ」

「も、もので女神を釣ろうって魂胆ですか」

ジト目で、睨んでくるアロラはさておき、先輩を見る。

 俺達2人を見るその顔はどこか、寂しそうに思えた。

「先輩・・・?」


結局この日は先輩のことが何も分からないまま帰宅した。


 

 そして、2泊3日の合宿に出発する日がきた。

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