神様の初恋

白石王

神様がいるとするならば。


さちは神社へ行くクセがある。とにかく落ちつくのだ。誰もいないことも理由の一つかもしれない。

とにかく、さちは毎日神社へ行っていた。

今日も。


二礼二拍手一礼の参拝を済ませて、学校へ行く。つまらない授業を受けて、お昼ご飯を友達と食べて、また授業を受けて。

そうやって、“普通”の高校生をしてから、神社へ寄って帰る。さちはどこにでもいる普通の高校生だった。

友達もいる。成績はそれなり。見た目も一般的な高校生。

「お、見えたな」

この人に出会うまでは。



いつも通りに神社でお参りをした後だった。

「あ、雨」

急に降り出した雨が収まるまで、社の中で雨宿りさせてもらおうとしただけだった。

「最悪だ……」

すぐに屋根の下に入ったのに、制服がぬれて張りついていた。今日に限って折りたたみ傘は持っていない。

ハンカチで簡単に拭いてはみたものの、あまり効果はなかった。

「晴れてるのに雨降ってる」

最悪ではあったが、きれいなものを見られて嬉しかった。

思わず笑顔になっていると、

「狐の嫁入りだな」

突然男の声がした。

驚いて振り向くと着物姿の長身イケメンが立っていた。

「誰!?」

思わず大声を出しても、イケメンは動じずに言った。

「お、見えたな」

笑顔で、さちの運命を変える一言を。

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神様の初恋 白石王 @kingdom422

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