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LINEを見た瑞穂は、喜びの笑顔を見せた。
「やったあ~!今日の仕事(ラボータ)が入ってるゥ♪^^」
LINEを確認してからスマホをカバンにしまおうとした時、独り言のように瑞穂に文句を言っていた裕史が瑞穂の手からスマホを奪うように取り上げ、
「ん? 瑞穂。随分変わったスマホ持ってるなあ。最新型なのかあ?」
と不思議そうに言うとスマホを調べ始めた。
「す、すっげ~!八段階にスライドしたり、縦に折りたためるのかよぉ!
知らない機能がいっぱいだし、縮小格納型なのかよ・・・まるで如意棒みたいなスマホだなぁ・・・
こんなスマホなんて初めて見るぞぉ~!いったい何処で手に入れたんだあ?」
ゲームのコントローラーみたいな形になったり、
ボタンの縦並びの列の部分が自由に外れ、
ブーメランやヌンチャクみたいな形にもなる。
もはや、スマホと言うより小型武器に近かった。
裕史が驚きながらスマホを調べていると、瑞穂が慌てふためいて裕史の手からスマホを奪い戻し、隠すようにカバンにしまい込む。
「ちょっ、ちょっとぉ~。勝っ手にわたしのスマホに触らないでよぉ~!」
瑞穂が目を吊り上げながら裕史に怒ると、殺気を感じた裕史は後ろへ二歩下がる。
「い~じゃんかあ、オレに隠し事なんてすんなよぉ~。
オレ達、そんな仲じゃないんだしぃ^^」
裕史が意味有り気にニンマリとした顔を見せると、瑞穂は上目使いで睨みつけ、
「そんな勘違いされるような言い方は、やめなさい!」
と言葉と同時に裕史に向かって回し蹴りを放った!
・・・が、蹴りは後ろへ下がっていた裕史には届かず。蹴りの勢いが強すぎたために、
ぐあわわっしゃっつしゃゃ~~ん!
と、凄まじい音をたてて、後ろ側の歩道に止めてある二台の自転車(バイク)に突っ込んで入(い)った。
「痛ゥ~っっ・・・
ひ、裕史ぃ~、よ、よくも、わたしの蹴りを避(よ)けたなぁ~!」
瑞穂はハンドルに強打した腰を押さえて地面に這いつくばる。
「オレだって、瑞穂の衝動を毎日食らってらあぁ、たまには避けたくなる。ってぇ」
裕史は瑞穂を避けれたことで少しばかりの満足感を達成し、とても気分のいい存分に勝ち誇った笑顔を見せる。
瑞穂は痛々しく腰を押さえながら、サドルに手を乗せ立ち上がる。
「わたし、裕史と遊んでる場合じゃないんだからぁ。久しぶりの仕事(ラボータ)が入って、急いでマンションに帰らなきゃならないのよ!」
裕史は痛々しく起き上がる瑞穂を心配もせずに笑顔を見せながら言う。
「なあ、瑞穂。そのスマホって、何処に売っているんだぁ?」
瑞穂は手さえも差し伸べてくれない裕史に半分怒ったような表情を見せ、冷たい口調で応える。
「何処にも売ってないわよ!わたしが改造したんだから!」
裕史は頭の上に “?” が幾つも並び。疑問による疑問で、世界の七不思議を見るような目を見せる。
「へっ?か、改造?・・・み、瑞穂が、改造するのか?
瑞穂って、そんな趣味もあるのかあ~?す、すっげ~なあ~!」
裕史が驚きながら感心している中、瑞穂はカバンを抱え自販機の裏側へとまわった。急ぎ足で隠れるように自販機の裏側へとまわった瑞穂の不可解な行動を目にする。
「ん?あれ?どうしたんだ瑞穂?」
裕史は瑞穂の行動が気になり、自販機の裏側へと行った。が、
ぶぁっくぉぉ~ん!
と、強烈な音をたてて、裕史の顔面にカバンが直撃する。
裕史はカバンの当たった衝撃で鼻血が流れ出した。
空を見ながら必死に硬直し鼻血の流れを抑(おさ)えようと頑張る。
「このぉ、どスケべ!覗くなあ~!
早く、向こう行ってよ!この馬鹿!!」
瑞穂の悲鳴に近い激怒が裕史を追い払った。
裕史は理由が判らないまま、シュンと肩を落とし黙りながら倒れた二台の自転車(バイク)を起こし。その自転車(バイク)の前で膝を抱えて座り、また自分だけのイジケた世界へと入り込み、心の奥底から強烈にイジケまくる・・・
「た、ただオレさあ・・・瑞穂の行動が気になっただけなのになあ~。
全然覗こうなんて気なんか、これっぽっちもおもっちゃいないのに・・・
なんでぇ~ぃ・・・いつもオレばかりイジメやがって・・・
イジイジイジイジイジ・・・」
裕史がイジケにイジケていると、一匹の仔犬がなついているかのように近づいてきた・・・裕史は近づいてきた仔犬をゆっくりと抱きかかえ、仔犬の顔に頬を寄せる。
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