アカシック・アーカイブ
夙多史
FILE-00 プロローグ
魔法。魔術。奇跡。
古今東西に語り継がれている超自然的現象、またはそれを引き起こす技術や知識のことだ。日本やアメリカなど高度な科学の恩恵を受ける国ですら魔術は廃れることなく存在し続けている。寧ろ科学が現実に味気ない答えを弾き出したからこそ、未だ解明されていない心霊現象や占いの需要が高まっているとも言える。
ただ、そういった『表の世界』で騒がれる魔法やら魔術やらは大半が偽物だ。本物の魔術師たちから見れば滑稽極まりない。
魔術は実在する。
古くはシャーマニズムから始まったとされるが、かつてのシャーマンがなにかしらの奇跡を実際に起こしていなければ、魔法や魔術といった単語自体が生まれていないはずだ。
魔術師とは『知』を欲する者。
得られた『知』を実行する者。
また、その『知』を繋げる者。
人から人へ。血から血へ。
受け継がれてきた魔術は様々な体系に分岐し、『人類の手の届かない領域へ踏み込む技術』としての本質だけは変わらず尚も研磨されている。
『知』を欲し『知』を繋ぐ彼らによって創られた、世界にたった一つだけ存在する魔術の教育研究機関である。
世界中のあらゆる魔術知識を内包するそこは、血統以外で魔術の継承を行う魔術師たちが後継者を見つけ育てる場となり、これから魔術師となる者たちが自分の才能に合う最適な道を発見するための場となる。そこは世界のどこかに確かに存在しており、年に一度、一般の学校と同じように新入生が迎えられる。
純粋な知識欲と好奇心から入学する者。家系的な義務から入学する者。明確な目標値を掲げて入学する者。技術をさらに磨くために入学する者。なんとなく入学する者。
そして――
学院に秘められし謎を解明するために入学する者。
多種多様な理由を胸に抱き、栄えある新入生となる魔術師の卵たちが今年も世界中から集まるだろう。
七年後に卒業できる者がたった一摘まみであると知りつつ――
彼らは希望を捨てず、学び舎へと足を踏み入れる。
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