その10

「おらっ!」


五体の加賀美が一斉に俺を蹴る。痛みは一度というのがなんとも不可思議だ。


こうなると目も耳も当てにならない。対応策としては加賀美の攻撃方法のメインとなっている太陽光線をどうにかしたいが、生憎本日はばっちり晴天好日だし、消火器のような光線の遮蔽効果を期待できるものも手近にない。


「ふふふふん、敵を知り己を知るってな。お前は俺を知ってたつもりだったが、俺も己は知っていたのよ。こうして自分の力を充分に発揮できる状態で登場したってわけなのさ。知ってるだろ。ウチの学園じゃ誰にも知られなきゃなにをやってもいいんだぜ?」


なるほど。周囲の空気を歪ませ、主たる監視カメラに使用されている光学レンズを完全に無効化済みというわけか。



続く。

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