かささぎ橋

摩天楼・華

-この子もまた誰かにええ夢見せる、ええ役者になるんかなあ-

孫と息子が帰って来た。

孫の手には幼稚園からもろてきた笹と短冊。

そうや、もう、そんな季節や。

思い出すのはあのひとのこと。


ええ夢見せてもろた。

ほんま楽しかったんや私あの頃。

わかってたんやけど、

わかっててお金あげててん。

だって毎日楽しかったんやもんあの人のお陰で。

せやからあれは私からあの人へのお礼で、

そない思たら今もなーんも悔いはしてへん。


この前当時の追っかけ仲間が教えてくれた。

あの人はもうおらへんらしい。

どこかにいって今はあの人の子供が座長らしい。


私の子?

ないなぁ、私以外にもいっぱいいい人居てたもん。

私は作らんとこて約束してて3年だけで別れたもん、七月七日の雨の日に。

これで私ら織姫彦星、こんなおばちゃんになっても思い出せる、若いあの日のええ思い

出。


気付けば孫がばあちゃんばあちゃんて手ぇ引っ張ってた。

この子もまた誰かにええ夢見せる、ええ男になるんかなあ。

ばあちゃん、あんたに、なんでも買うたる。

あの時あの人にあげてたように。

あんたのこれからに希望をあげる。

笹の葉さらさら、まだ乳臭い、可愛い可愛い私の孫の手。

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かささぎ橋 摩天楼・華 @yumemaboroshi

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