第23話 二号棟
二号棟の内部に侵入してほどなく、静まり返った建物内にけたたましい警報音が鳴り響き、一秒としない間に防衛装置の反攻に遭った。
どこからそんなに湧いてくるのかと不思議になるくらい、いくつもの機械が奥から現れてくる。
佐座目達はとっくに走り出していた。
こうしている間にも運命のタイムリミットは刻一刻も近づいてきている。一秒だって無駄遣いしている余裕はないのだ。
足は止めずに能力を、発動。文字通り壁のように行く手を遮る機械たちを破砕していった。
パケツをひっくり返したような形の一メートル程の身の丈のある円筒形の物体が、熱に炎に、溶かされ炙られ、雷撃に打ちのめされ、猛風に吹き飛ばされていく。
防衛機械達の無残な姿に目もくれず、ものの数十秒でさっそく一階を突破。
非常階段を見つけて駆け上がっていく。
全部で十階分あるのだ。こんなところで、止まってはいられない。
「時間は有限だ、キリキリ走れよ!」
建物内だからか、先陣をきって走る美玲の声がよく響く。
隊列の中、佐座目達がいるのは割と先頭の方、自分たちは前衛だ。
メンバーは、美玲、佐座目、理沙、アルシェそして他の男性エージェントが三人といった具合の七人。
その後ろに、遠距離攻撃を可能とするエージェントの部隊が十数人程が続き、最後に治癒や防衛を得意とする支援のエージェント数人(菖蒲はこの中)が後ろに着く形になっている。
整備班の人達はこの中にはおらず、別行動だ。(ちなみにどうでもいいが隊長であるにもかかわらず、五十嵐は部隊の中程らへんにいる)
二階を通り越し、三階へと駆け上がる。
そして四階へと差し掛かった時、その階層のフロアにつながる扉がはじけ飛んだ。
円筒形の防衛機械たちがわらわらと顔をのぞかせる、そしてレンズを光らせて光線を発射した。
「くっ、そう簡単には通させてくれないか」
「ここは、僕が」
こんな時の為に、イレギュラーな事態が起こった時、独自に対処できる戦闘力と判断力をもったエージェントが選ばれたのだから。
とっくにコネクトしてある、ミスティックセブンとカトレアファイブを構えて撃つ。
関節、レンズだけを正確に打ち抜いて、攻撃力を削いでいく。
「露払いは任せなさいっ」
そして理沙が、進路上にある防衛機械たちを四隅へと弾き飛ばす。
前衛が通り抜けた後、魔法が吹き荒れて機械をフロアへと押し戻した。
だが、今ので少し距離が開いてしまった。
これが後の戦闘に響かなければいいが。
「過ぎた事をいつまでも気にしていても仕方ない。我々は今出せる全力を出すだけだ」
美玲がそんな言葉をかけてくる。
残り時間は25分。
確かに焦って、ミスをするにはまだ早すぎる。
そうして、階段を駆け上がった先、五階には一号棟へと続く連絡通路があった。
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