異世界で裏から世直し始めました
k3k3
第一章 異世界で新しい人生始めました
目的の確定
第1話 初めての出会い
「頼み事を聞いてくれてありがとう。」
…あれ?俺、死んだんじゃなかったのか?
俺は真っ暗闇の中にいた。
「あれ?聞こえてないのかな?」
そういえば、地面にぶつかる時に一切痛みを感じなかったなぁ。
「ねぇ、起きてるんでしょ?」
もしかしたら意識だけがどこかへ飛んでいったのかもしれない。
「ねぇ、ねぇ、聞こえてるんでしょ?」
ラノベでは
「ねぇ」
この後神様にあって
「ねぇ」
異世界にチートスキルとともに
「ねぇ」
転生、っていうの
「ねえってば!」
が一般的だけど、
「いーかげん、返事しーてーよー!!ねぇ。ねぇ。ねぇ。ねぇ。」
…まさかね。
「だー!うるっさい!いったいさっきから誰だよ!?こっちは突然のことでびっくりしてるんだよ!!」
「あっ!やっと返事してくれたー!まったく、いつまでたっても反応がないから、聞こえてないのかと思ってたよ-。」
「あー、ごめんなさい。てか誰だよ!?」
「やだなー、この姿を見てまだ分かんないの?」
姿?相変わらず周りは真っ暗闇で、何も見えやしない。
「いや、暗くて何も見えないんだが。」
「えっ?あっちゃー。ごめんねー。そういえば灯りをまだつけていなかったよ。」
いや馬鹿ですか?
「うーん…どうせなら僕達と同じように暗いところでも見えるようにしてあげるよ!」
「は?おい、お前何言ってんだよ!」
いきなり、光が満ちてきた。
「っ?!」
目をとっさに瞑り、ゆっくりと開いてゆく。
「僕は女神だよ。名前はアイリス。よろしくね。」
ラノベのテンプレ展開来たんじゃない?
◆◆◆
「お礼を言わせて貰うよ。僕の頼みを聞いてくれてありがとう。」
「あー、いや礼なんていいよ。それより、頼みごとって何なんだ?」
勇者として転生してほしいとか?
それとも、他に何かあるのか?
どうあるにしても、早く言って欲しい。
女子との関係を限りなく絶ってきた俺は、こんな会話だけでも久しぶりなんだ。
「うん。その事なんだけど…まあ、まずは世界の出来方について教えるよ。」
うっ!説明が来やがったぞ?!
アイリス曰く、
「僕達神々は、何も無い場所から独りでに生まれるんだ。それと同時に新しい世界が創られる。」
そして、
「僕達はその出来た世界を管理するのが仕事なんだ。出来たばかりの世界はまだグチャグチャだから、最初の頃に自由に創り上げていける。」
とのこと。
「…僕はそんな風には言わないよ…」
アイリスが俺に近づいてジト眼で睨んできた。
どうも、俺がアイリスの真似をしたのが、しゃくに障ったらしい。
「へっ?俺、何か言ってた?」
「声に思いっ切り出てたよ…」
マジかよ!で、でも!
可愛い!少し怒った女神も良い!
しかもアイリスの方が背が低いから、睨まれる時に胸元が丸見えになるのだ。
「あ…ああ、悪かったな」
照れて、胸元から目を背けながら謝る。
「もう!ちゃんと目を見て謝ってよ!」
そう言って、アイリスは俺の頬に手を当て、目を合わせてきた。
「ふぇ、ご、ごめんなさい…」
「分かれば良いんだよ。僕は優しいからね!」
そう言い、胸を張るアイリス。元々目立つモノがこれでもか、と自己主張している。いや、し過ぎている。
…ゆー はっど べたー のっと すたんだっぷ…
「そんなことより本題に入るよ。君の書いた小説の設定を基にして創られた、この世界の創造主になって欲しいんだ。」
お、お…え?
「なんて?もっかい言ってくれ」
「だから、君には僕の世界の創造主になって欲しいんだよ。」
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ?!
「な、なんで俺が?!いやそもそも、俺の書いた小説の設定!?なんで…なんでそんな事お前が知ってるんだよ!後…」
「まあまあ、気持ちは分かるけど落ち着いて。詳しく説明するから。」
◆◆◆
アイリスの説明を聞いて、分かった事をまとめると、
「世界は神の誕生と共に創られるんだ。そして、新しい世界は同じ時に生まれた神が管理する。」
「新しい世界は神が最初の頃に自由に創り上げる事ができて、他の世界から一人を創造主として選んで、自分の世界を安定させる役目を与えるんだよ。」
と、いったところだ。
そして、どうして俺が選ばれたかというと…
遥か昔から生命体の記憶は、神々の中で俺の世界で言う小説と同じ様なモノである。
俺の記憶を読んでいたアイリスは小説の設定を見て、ちょうど自分の世界の設定に困っていた所だったので、諸々パクることに決めた。
その後、創造主を選ぼうとするのだが、俺の記憶からパクったのでもちろん俺を任命する事にした。
ということらしい。
「なるほどな…」
「分かってくれたみたいだね」
「ああ。前世ではマトモな人生すら送れなかったからな。せっかく与えられたチャンスなんだ。しっかりモノにしてやる!」
「良い心構えだね!その調子だよ!」
意気込みはバッチリなんだが、俺はどんな風にしてその世界へ行くんだ?
転生か?召喚か?
「あのさ、アイリス。俺ってどうやってその世界へ行くんだ?」
「あー。その説明がまだだったね。君は普通に赤ん坊として転生するんだよ。ちなみに、君の父親はマルトス王国の貴族で、名をグラン・フォスター。母親は、有名な魔術師の家系の出で、名はヘルガだ。あ、後、言語理解についてなんだけど、僕の力で強制的に解決しておいたから大丈夫。」
「ほぅ…そうなのか。あ、そうだ!特殊能力とかはないのか?俺Tueee系のやつとか!」
やっぱり転生といえば、だいたい最強の能力とかがあるだろ?
「うーん、今は無いなあ。まあ、子供の頃は特に頼むこともないから、好きにしていいよ。頃合いになったらこっちから話し掛けるから!」
「な、無いだって?!いや、ちょっと待…」
「まあ、細かいことは大丈夫だから。取り敢えず、新しい人生へレッツゴーだよ!」
「え、おい!アイリス!」
叫びも虚しく、俺の意識は遠のいていった。
◆◆◆
「…わいいなぁ…名前は…」
ぼんやりとする中で、誰かの声がボソボソと聞こえる。段々と意識が冴えてきた。
…あっ、そうだ!俺、今赤ん坊なんだ!
…まったくあの女神ったら、もう少し教えてくれたって良いじゃないか!
まあ、怒っていても仕方ない…
よし!新しい人生だ!頑張って生きてやるぜ!
うん。まずは、新しい両親に会いたいな。何せ、これから世話になるんだから、今後が決まると言っても過言ではない!
新しい両親はどんな人かなぁ~!
優しい人だったら嬉しいなぁ!
期待に胸を踊らせて、目を開ける。
「ほぅ…」
思わずため息が漏れた。
「あ、目が覚めたみたいよ!」
母親のヘルガさんは、30代前半くらいだ。とびきり美しいというわけでもないが、それなりに顔は良かった。
そこはかとない母性が感じられた。まるで、聖母マリアの様な優しさが溢れている。
「本当だ!ああ、可愛いなぁ」
こっちは父親のグランさんか。年は、母親と同じくらいだろう。しかし、それでいて貫禄がある。民衆の先頭に立って、引っ張っていけるようなイメージだ。
さすがは貴族なだけあるなぁ。
父親も、負けず劣らず優しさが溢れて出ている。
「可愛いなぁ」
「貴方、さっきから可愛いしか言ってないじゃない」
「だってこの子を可愛い、としか言い表せる言葉がないんだよ」
「まあ、確かにそうね」
そう言って、俺を見て二人は微笑んだ。
…うん。良い両親に出会えて良かった。
なんか、感動したよ…
…しかし、俺の名前はどうなったんだ?
気になって仕方がないんだが。
普通に聞くとするか…
「これで、2人目の子供ね…」
「ああ、ラガルもお兄ちゃんになったって喜んでいたよ」
「フフフ、あの子も4歳だけど、とてもしっかり者だもの。きっといいお兄ちゃんになれるわ。」
「この子も、お兄ちゃんみたいになるだろうね」
「あのー、僕の名前って、なんていうんですか?」
「えっ?あら、ごめんなさいね。まだ教えてなかったかしら。貴方の名前は、アズベル」
「僕達の2人目の息子だよ」
微笑みながら、質問に答えた二人は、
その後、そのまま固まってしまった。
あっ!
…しまったぁぁぁ!!!冷静な判断ができなかった!クソがぁぁ!!
「お、おい!ヘルガ!」
「え、ええ!貴方!今、この子喋ったわ!」
「いや、喋るどころじゃないだろう!普通に会話が成り立っていたぞ!?」
「ちょっと!シルフィ、急いで来て!」
やべぇ。何とかしてこの場を収めないと!メイド長まで呼ばれたら、余計にややこしくなる!
え、え、えーと!!
「あ、あのー、落ち着いて下さい。これから、宜しくお願いします、お父さん、お母さん。だから、取り敢えず落ち着いて!」
「なっ?!は、は、ははは…」
「貴方ぁー!大変だわ!グランが気絶しちゃったわ!早く、シルフィ来て!」
あっ!ブッフォォォ!!
…あー、本気で終わったちゃったわー。
これからどうなるんだろ、俺。
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