岡野日和

@astalisk2006

第1話 お腹が痛くなって一生懸命‟アレ”を我慢する保育園児

先生:「はい、それじゃお昼ごはんの時間よ~。」

園児たちは机を動かして、お昼ごはんの体勢をつくりました。

そしていくつかの大鍋が運ばれ、着々と配給の準備が進んでいきました。


園児たちが配膳台に並んでいきます。

その中に淳一(3歳)がいました。


淳一は、

少しづつ会話をすることを覚え、

やっとオムツも外れて、

1人でトイレにも行けるようになれた(夜以外)、

そんな時でした。


配膳も終わり、みんなが席に着きました。


先生:「それじゃ食べる前のご挨拶するよ。みんな手を合わせて、せーの‟いただきます”。」

園児:「いただきます。」


園児たちのお昼ごはんが始まりました。

好き嫌いをする子、おしゃべりばかりする子、食べるのがおそい子、みんな何かしら注意を受けていました。


そんな中淳一は、急にお腹が痛くなってしまいました。

淳一は、本能的にトイレへ行かなければと思い、先生のもとへ近寄り言いました。

淳一:「先生、‟うんち”してきていいですか?」


食事中の先生は、とても迷惑そうな顔で言いました。

先生:「行ってきなさい!」


淳一は、少し怒られたような気がしましたが、急いでトイレへ行き用を足し、事なきを得ました。


そうして、その日のお昼ごはんの時間が終わりました。

先生:「はいそれじゃ終わりの挨拶するわよ~。みんな手を合わせて、せーの‟ごちそうさまでした”。」

園児:「ごちそうさまでした。」

園児たちは机を元に戻していくのでした。


次の日。


先生:「はい、じゃあお昼ごはんの時間よ~。」

園児たちは机を動かしてお昼ごはんの体勢をつくりました。

配膳も終わりみんなが席に着きました。


先生:「はいみんな手を合わせて、せーの‟いただきます”。」

園児:「いただきます。」

園児たちはお昼ごはんを食べ始めました。


すると淳一は、またお腹が痛くなってしまいした。

やはり淳一は、‟早くトイレに行かなければ”そう思いました。

そして淳一は、先生のところへ行き、言いました。

淳一:「先生、‟うんち”してきていいですか?」


先生は、昨日以上に迷惑そうな顔をして言いました。

先生:「食事中に汚いわよ!早くいってらっしゃい!」


淳一は、ほぼほぼ怒られていることに気が付きました。

でもどうして怒られているかわかりませんでした。

トイレへ向かう道中、ただ怒られたという感覚だけが残っていました。


そうして、この日のお昼ごはんの時間も終わりました。

先生:「はいみんな手を合わせて、せーの‟ごちそうさまでした”。」

園児:「ごちそうさまでした。」

園児たちは机を元に戻していくのでした。


次の日


先生:「はい、お昼の時間よ~。」

園児たちが机を動かして体勢をつくりました。

配膳が終わってみんなが席に着きました。


先生:「はい手を合わせて、せーの‟いただきます”。」

園児:「いただきます。」

園児たちがお昼ごはんを食べ始めました。

何だかその日の先生は、機嫌が悪いように見えました。


淳一は、やっぱりお腹が痛くなってしまいました。

淳一はためらいました。

昨日のことを思い出すと、トイレに行きたいことを素直に言い出せませんでした。

淳一の中で、いろんな葛藤が頭を回っていました。


‟どうしよう、トイレに行きたい。でも行きたいと言えば、また先生に怒られてしまう。耐えるか!?お昼ごはんの時間が終わるまで!何とか気持ちをごまかしながら!・・・・できない。いや、耐えようとすればするほど我慢ができなくなる・・・・。”


淳一は勇気を出して、先生のところへ行き言いました。

淳一:「先生、‟うんち”してきていいですか?」


淳一の3日連続のこの行為に、先生はついにキレました。

先生:「いい加減にしなさい!!毎日毎日食事中に!わざとやってるの!?ふざけるのはもうやめなさい!!」

淳一:「・・・・。」

先生:「・・・・早く行ってきなさいよ!!」


淳一は、目に涙をためながら用を足しました。

淳一は思い悩みました。

どうして僕は、お昼ごはんの時間にうんちがしたくなるんだろう。

どうしたら、なおすことができるんだろう。

淳一にとって、お昼ごはんの時間は憂鬱で仕方のないものになってしまいました。


そうして、この日のお昼ごはんの時間も終わりました。

先生:「みんな手を合わせて、せーの‟ごちそうさまでした”。」

園児:「ごちそうさまでした。」

園児たちは机を元に戻していくのでした。


次の日


先生:「はい、お昼の時間よ~。」

園児たちが机を動かして体勢をつくりました。

配膳が終わりみんなが席に着きました。


淳一は、不安でしかありませんでした。。

‟ごはんを食べるからお腹が痛くなっちゃうのかなぁ。でも残したらそれで怒られるし・・・・。”

淳一は意を決してお昼ごはんを食べ始めました。

すると案の定、お腹が痛くなりました。


しかし淳一は、今日ばかりはトイレへ行きたいと言えませんでした。

先生にまた怒られてしまう、絶対に我慢しなければ。そう思いました。

でもお腹の痛みはひどくなる一方でした。

食事が進まず、苦痛にゆがむ淳一の顔。

そんな淳一の様子を全く気にせず、周りの園児や先生は箸を進めていました。

淳一の頭の中は、もうマイナスな事でいっぱいでした。

‟残したら怒られる、食べなきゃ怒られる、でも食べたらお腹が痛くなる、トイレへ行けば怒られる、もらしたりしたら・・・・”

淳一のおしりは、とっくに限界でした。


そしてついに淳一は・・・・うんちを、もらした。

淳一は事なきを得られませんでした・・・・。

淳一は今にも泣きだしそうな顔で、ただ何となく、ひっそりと息をひそめていました・・・・。

そしてこれから怒られることを考えると、怖くて怖くて仕方がありませんでした。


先生:「みんな手を合わせて、せーの‟ごちそうさまでした”。」

園児:「ごちそうさまでした。」

園児たちは机を元に戻していくのでしたが、

淳一は立ち上がることができませんでした。どうすることもできませんでした。


その様子に、一人の園児が淳一のもとに駆け寄りました。

最初は優しく接してくれていた園児は次の瞬間、

園児:「うんこくせぇ!」

そうして、みんなの注目が集まってからその園児はとうとうカミングアウトしました。

園児:「先生!淳君がうんこもらしてます!」

園児たち:「えーーーー!!」

先生:(無言)

淳一の目から、涙がこぼれました。


このあと、淳一がこっぴどく怒られたのは、言うまでもありませんでした。




※注意

なぜ‟トイレへ行っていいですか?”という言葉を使わなかったか、その理由として筆者の記憶は定かではないが、トイレへ行くと言ってそのまま勝手に遊びに行くイタヅラ園児がいたため、トイレへ行くという言葉が嘘をつく代名詞のようになっていたように推測する。そのため、当時の淳一は正直にうんちをしたいという気持ちを伝えるため、はっきりとうんちという言葉で先生に訴えたかったのではないかと思う。

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