朝ご飯は、何にしよう?

杉村衣水

第1話

彼はいつも、遠い未来の話ばかりする。

俺は置いてけぼりで、つらつらと自分の思った事を連ねていく。


そんなのはいい。

なら二人で話し合いたい。

どうだって良い訳じゃ無いけど、それよりも俺は明日の天気の話をしたい。

晴れだったら歩いて出掛けてみようか。

雨なら、そう、映画館にでも行こうか。


遠い未来の話は途方も無くて、途方も無い事に怯えて彼の笑った顔が見えなくなるのは哀しかった。

思った事を口にしてくれるのは嬉しいのだけれど、まるで絶対“そう”なるように語るから悔しい。

俺はあんたが好きだと言っているのに、なんでまだ疑われなくちゃいけないんだろう。

今まで付き合ってきたのが女性だったからなんだって言うのだろうと思うけれど、彼にはそれは大事な部分らしい。

いい加減信じてみればいいのに。臆病者。

俺がどれだけあんたを好きなのか、愛しているのか。

解っているはずなのに、本気にならないのはあんたの方だろう。

意気地なしめ。

傷付くのが怖いのか。予防線を張っておかないと不安なのか。


そんなのは馬鹿にしている。

俺の事を馬鹿にしている。


俺は二人で話がしたい。

なあ、朝メシは何が良い?

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朝ご飯は、何にしよう? 杉村衣水 @sugi_mura

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