第13章『赤い朱いミルカ 3』

「見せてやるぜ、テロリスト野郎! キメラ・デュバルの力をな! まずはこの……“アイアンシザー”ッ!」


 威風堂々としたデフの叫びと共に、キメラ・デュバルの左前腕部に装備された三叉の爪『アイアンシザー』が眼前のソリッドの胴体部を目掛けて襲い掛かる。敵機はすかさず後方に回避しようとするも、重装甲のあまり運動性が劣悪なのが弱点のソリッドが避けられるはずもなく、鋼鉄の爪はソリッドの強固な右肩部を掴むと、いとも容易く千切り砕いていった。

 追撃を恐れたのか、敵ソリッドはすぐさま使い物にならなくなったボロボロの右腕部をパージすると、背部のブースターを吹かしつつ距離を取ろうとした。


「へへっ、逃がすかよ! ブレストアンカー1番、2番、射出!」


 デフが言い放つと共に、キメラ・デュバルの胸部前面に取り付けられた防護カバーが展開される。2門の射出口から放たれたのは、先端に鋭利な錨が備え付けられたアンカーだ。胸部と頑丈なワイヤーにより結ばれたその錨は、後退するソリッドの前面装甲に突き刺さると、獲物を捕らえた猟犬のようにそれを離そうとはしなかった。

 デフは敵機へのアンカー着弾を確認すると、手元のコンソールを慣れないながらも素早い手つきで操作し、ワイヤーを巻き戻す。総重量22トンを誇るはずのソリッドが、ゆっくりと、しかし着実にキメラ・デュバルの元へと引き寄せられていった。

 すると、抵抗のつもりなのか、ソリッドは頭部をキムの乗るトレーラーの方へと向けた。恐らく、頭部バルカンを用いてトレーラーを攻撃するつもりだろう。


「させるかよ! だったら……」


 喧嘩において、相手の手口が読めているのならば、先手を打つのが定石である。それはDSW同士の戦闘においても同様であるのだと、この時のデフは理解した。


「……この間合い、ハンドキャノンならさ!」


 デフはキメラ・デュバルの右腕をソリッドへと伸ばす。肘下から手首にかけて装備された“ハンドキャノン”は、表向きには工具しか搭載していないキメラ・デュバルが、唯一装備している純粋な武装だ。これはコスモフリートへの提供が決まってから、アルテッラが急遽装備してくれたものである。小型グレネード弾を発射することができ、特に中距離戦において絶大な効果を発揮する。反面、最大装填可能数が6発と極端に少なく、さらに銃身が短いため狙いが定まりにくく遠距離での射撃は不得手であるなど、とにかく明確な弱点が多い武装ではあるのだが、


「へへっ、この距離で外すマヌケがいるかよ……!」


 目の前にいる、しかもアンカーに捕らえられたことにより自由に身動きが取れなくなってしまっている敵ソリッドとキメラ・デュバルとの距離は、僅か十数メートル。これほどの至近距離からの狙撃など、実戦経験のないデフですら、すぐ側にあるゴミ箱に空き缶を投げ入れるくらい容易いことのように思えた。

 デフは照準をソリッドの頭部に重ねると、躊躇することもなく操縦桿のトリガーを引いた。

 命中。ハンドキャノンから射出された砲弾は見事にソリッドの頭部を射抜き、鈍い爆発音と共に跡形もなく吹き飛んだ。


《馬鹿者! そんな距離でグレネードをぶっ放す奴がいるか!》

「結果オーライって事にしといてくれよ!」


 ソリッドの一部破片が横転しているトレーラーのすぐ傍に突き刺さってしまったせいか、すぐにアルテッラから無線機越しに苦情が届いた。デフはそれを半ば聞き流しつつ、眼前に迫りつつある敵機との距離を再度確認する。アンカーに引っ張られているソリッドは、既に手を伸ばせば触れられそうな距離にまで近づいていた。


「さて、シメはこいつだ……ッ!」


 デフは左手で握る操縦桿をグッと自身へ引き寄せ、そして前方へと思いっきり押し出す。彼の操作に合わせてキメラ・デュバルもまた左前腕部を覆うアイアンシザーを構え、そして目の前のソリッドの胸部を目掛けてその鋭利なクローを繰り出した。

 身動きの取れぬソリッドに最早避ける術はなく、キメラ・デュバルの巨大な左手はソリッドの胸部を覆うように掴んだ。しかし、キメラ・デュバルの猛攻はまだ終わらない。


「このっ……、泣く子も黙るドリルでぇぇぇぇッ!!」


 刹那、キメラ・デュバル左腕部の巨大な掌に被さっているスリットが開け放たれる。耳鳴りな金属音を立てながら、這い出るように掌に出現したのは、キメラ・デュバルの誇る必殺兵器“ブレイクスルードリル”だ。ただでさえ射程が短く、動き回る敵DSWに対しては一度アイアンシザーで捕らえなければならないなど使用の際にあまりにも制限がありすぎることから、DSWにはお世辞にも適しているとはいえないこのドリルという武装ではあるが、条件さえ揃えば如何に強固な装甲を持つソリッドでさえも、文字通り“突き破る”事が出来てしまう。このブレイクスルードリルは、まさしくキメラ・デュバルの切り札であり、一撃必殺の武装と言っても過言ではない。


「ハハハッ! おっ死んじまえよなぁぁぁッ!」


 デフは高揚感のあまり、高笑いをあげながら敵機の胸部に向かってブレイクスルードリルを突きつけてゆく。

 何故、実戦経験のないデフがここまで健闘できているかといえば、それは単純に相性の問題であった。ドリルやクローなど、扱い辛い武装を惜しみなく積み込んだキメラ・デュバルは確かに汎用性に難があるとはいえたが、“至近距離による敵機の破壊力”の一点だけは、他のDSWを遥かに凌駕する性能を誇る。ただでさえ俊敏性に欠けるソリッドが、動き回りにくいブリッジの上という環境で、それも一騎対一騎というタイマンで相手にするには、この上なく分が悪い相手であるといえた。

 言い換えるならば、ソリッドが単騎でブリッジ上を攻めてきたその時から、デフの勝利は確定していたのだ。


(アルテッラの姐さん。こいつぁ最高のマシンだぜ……ッ!!)


 ソリッドの胸部装甲に触れたドリルが、容赦なく鋼鉄を食い破っていく。オレンジ色の火花を辺りに散らしながら、少しずつドリルは深部へと深く突き刺さっていった。


(どうだ、テロリストの屑野郎……ッ! これで俺の勝ちだ……!)


 敵機に勝利した。それはつまり、デフは無事に味方を守りきることが出来たという事と同義でもある。他の誰でもない、自分の手で、だ。

 デフは『ミスト・ガーデン』で起こった戦闘を思い出していた。突如として迫る1機のギム・デュバルに対し、勇敢に立ち向かうピージオン。自分はただ、離れた場所からその光景を見ていることしか出来なかった。

 だからこそ、デフはアレックスに感謝こそしていたものの、同時に屈辱や嫉妬心も少なからず抱いていたのだ。

 だがそれも、今のデフにとっては過去の話である。

 何故ならば、今の自分にはキメラ・デュバルチカラがあるのだから。

 もう守られるだけの自分ではないのだ。


(見たか、アレックス。俺にだって、やれ……)




《うぅわああああぁぁぁああぁぁぁぁあああッ!!》

「……ッ!?」


 しかし、スピーカーから流れ出る悲痛な叫びが、感傷に浸っていたデフを現実の世界へと引き戻した。



 その時のリリアンには、自分の身に何が起こったのか瞬時に理解することができなかった。

 まず最初に彼を襲ったのは、コックピットをも揺るがす強い衝撃。続いて無数の爆煙が彼を覆い、全身を駆け抜ける痛みと、逃れられぬ恐怖を味わった。


(僕は……どうなってしまっているんだ……? 僕は……これからどうなるんだ……?)


 そんな疑問ばかりが、頭の中をぐるぐると駆け巡った。しかし、普段ならすぐにでも答えを出せそうなこの問いに対して、今のリリアンには何故か、どうしても答えにたどり着くことができなかった。

 やがて何も感じなくなってくると、目の前に暖かな光が差し込んでいくのが見えた。


 ーーリリアン。


 人の形を得た光が、リリアンに対して語りかけてくる。聞き覚えがある、慣れ親しんだ、優しい女性の声だった。


(姉さん……? それに……)


 微笑みを向けてくれる双子の姉の後ろに、さらに数人の少年少女達が姿を現す。

 自信に満ちた表情の少年。

 一見クールにも見えるが暖かい目をしている少女。

 温厚で思慮深そうな少年。

 明るく天真爛漫な少女。

 どこか素っ気ないけど、何だかんだで僕たちを心配してくれている少年。

 彼らはみな、楽しそうに輪を作っている。リリアンにはその光景が、酷く懐かしく思えた。


(……僕も、混ざってもいいかな……?)


 すると、双子の姉はこちらに小さな手を差し伸べてくれた。元気で無邪気そうな笑顔で、リリアンに喋りかけてくる。


 ーーリリアンもおいで! 楽しいよ!


 リリアンは少し悩んだ後、やがて彼女の手を握った。とても柔らかく、暖かい手の温もりだった。


 ーーうん。わかったよ、ねーちゃん!


 まだ幼い少年は、姉に目一杯の微笑みをかえした。



「パイロットが死んだ、のか……? それもやけに若い……」


 キメラ・デュバルが深く突き刺さったドリルを引き抜くと、操縦者ごとコックピットを貫かれたことによりもはや戦闘能力の残されていないソリッドは力なく膝をついた。

デフは止めを刺した時にスピーカーから聞こえた言葉の節々を思い出し、思わず身震いする。

 接触回線により聞こえてきた敵パイロットの声は、やけに若かった。自分と同年齢か、もしかしたら年下かもしれない。


(今のソリッドのパイロット……。もしかして、ナットの言っていたモルモットチルドレン……って奴なのか……?)


 いや、きっとそうなのだろう。デフはそう確信した。

 コロニージャックの首謀者であるフロッグマンという男は、少なくとも何人かのモルモットチルドレンを部下として従えているという。つまり、たった今ソリッドに乗っていた相手は、かつてナットと何かしらの繋がりがあった人物である、ということだ。

 その命を、デフは絶ってしまった。誰でもない、自らの手で。




『駄目だ、デフ。ピージオンには僕が乗る』


『なんでだよ! 自分には操縦出来て、俺には動かせねぇってか!?』


『違うんだよ、デフ。そんな覚悟、君がする必要はないんだ……』




 1ヶ月ほど前の、『ミスト・ガーデン』襲撃時にアレックスと交わした言葉が脳裏をよぎった。あの時の彼の瞳はとても悲しそうだったことは、今でもよく覚えている。


「アレックス……お前は、俺がこうなっちまうことを危惧していたのか……」


 震えが止まらない。腹の中にどす黒い泥が溜まっているような錯覚に陥り、今すぐにでも吐き出したくなる。デフはようやく、アレックスの言葉の本当の意味を理解すると同時に、結果的に彼の期待を裏切ってしまった事に対して深い罪悪感を感じてしまっていた。

 これが暴力。

 相手の尊厳も自由も人生も、何もかもを踏み躙り、傷を刻み込む、最も愚かな力の使い方。

 あの少年が忌み嫌っていた行為。

 かつてのデフが日常的に行っていた行為。その延長にあるのが、殺人である。


「ヘヘッ、まるで人間のクズじゃねえか……俺は」


 確かに『ミスト・ガーデン』にいた頃の自分は暴力に明け暮れていたが、全治数週間程度の怪我を負わせることはあっても、流石に命を奪うような真似はしなかった。

 しかしデフは、暴力と殺人が本質的には同質のものであるということを、人一人の命を奪うことでようやく理解するに至った。それから浮かんでくる感情は、もはや後悔しかなかい。


「俺は……俺は……」


 次第に弱々しくなっていくデフの声を、外界の雨音が掻き消す。しかし、これほどに強いスプリンクラーの雨も、デフの心の汚れまで洗い流してはくれなかった。それ程までに、きっと今の自分は血で汚れてしまっているのだろう。




《“”ってのはよくある話だけれど、“”を出来る人間はそうそういるもんじゃないんだ。初めての場合は誰だってそうなっちゃうんだから、まあそう落ち込むなよ》

「……っ! 誰だ……!?」


 不意に、スピーカーからヒキガエルのように気色の悪い男の声が発せられた。次いで警報音が鳴り響き、傷心のデフはすぐさま左側に視線を向ける。

 僅か数百メートル後方のブリッジの上、一機のDSWがゆっくりと歩み寄りつつあるのが見えた。その機体に見覚えのあったデフは思わず目を見開いてしまう。

 黄緑色の装甲に包まれた全体的に太くがっしりとしたフォルムは、ソリッドをベースにしたカスタムタイプであることが伺える。頭部には青色の単眼……モノアイが光る他、左右に出目金のように出っ張った同色のツインアイが存在感を放っている。


《まあ何がともあれ、童貞卒業おめでとう! 見知らぬパイロット君!!》


 右腕部のマニピュレーターで機体の全長ほどある超大型チェーンソーを掴み、背部にはDSWサイズのハンマーやバールを背負っているその機体の名は“A'sHM-63<destroyer>”。


 ペットネームは、“噛み千切る者アリゲーター”。



「……ッ! フロッグマン…………ッ!!」


 静止したトレーラー内にいたナットは、外から聞こえたフロッグマンの声を聞くなり、すぐにジャケットの内ポケットに仕舞ってあるサブマシンガンに手を伸ばそうとする。


「待って、ナット!」


 外に出るべく扉を開けようとしたナットを、ミルカが制する。


「止めるなよ、ミルカ。奴を仕留めれば、事は丸く治まる……」

「治まらないよ! 冷静になって、ナット! あんなのは明らかにただの挑発だし……それに、何よりも今の私たちの目的は、コロニーの人々を解放することでしょ……!?」


 ミルカに強く言われ、ナットは寸前のところでようやく踏み止まった。彼女の言う通り、コロニーは依然としてフロッグマンの手中にあるのだ。彼が目の前に出たからといって……いや、わざわざ目の前に出てきたからこそ、迂闊に手出しをするべきではないだろう。


「……そうだな。すまない、少し取り乱した」

「もう、ナットは昔から焦り過ぎなんだから……。気をつけてよねっ」


 焦り過ぎ、か。ナットはミルカが何気なく口にした言葉の真意を探るように頭の中で復唱する。

 今思えば、フロッグマンが現れたその時から、自分は敵を仕留めようとするあまり、一切周りが見えていなかったのかもしれない。現に今のように、自分達にとっての目的すらも忘却の彼方に追いやってしまっていたのだ。

 ミルカが止めてくれなければ、自分はまた過ちを犯してしまっていたのかもしれない。アフマドとの決別を決定的なものにしてしまった時のように。シェリーを自らの手で葬り去ってしまった時のように。


(ミルカが居なければ、俺はとっくに人としての良心を捨ててしまっていたのかもしれないな……)


 ミルカの存在が、ナットという存在を人間のままで繋ぎ止めてくれているのだ。ナットはようやくその事実に気付くことができた。


「……? どうかしたの、ナット」

「……っ!」


 ミルカに言われ、ナットは彼女を凝視していたことに気付き、思わず取り乱してしまった。その頬は僅かに紅潮している。


「なっ、何でもねぇよ。何でも……」

「? そ、そっか」


《バァハムートくぅ〜ん。遊びましょぉ〜っ》


 相変わらずトレーラーの外からはフロッグマンの癇にさわる声が鳴り響いている。耳を塞いでも聞こえてきそうな程の音量だった。


「どうしよう、ナット……」

「ああ……」


 不安そうな表情のミルカに言われ、ナットはこめかみに親指を当てつつ、思考を張り巡らせる。


 今、自分達に切れるカードは恐らく2つ。

 すぐさまトレーラーを発進させてこの場から立ち去るか、DSWを駆るフロッグマンに対して勇敢に立ち向かうか、だ。

 しかし、前者の場合は必然的にブリッジの上を包囲する民間人達を敵に回すことになる。これでは勝算などの問題以前に、自分達の最終的な目的に反してしまうことになるのだ。

 かといって後者が好手かといえば、そういうわけでもない。こちらの戦力はデフの乗るキメラ・デュバルと、搭乗者のいないピージオンのみ。それを踏まえた上で勝負に出るなど、無謀以外の何でもない。


(あるいは、大人しくおやっさんを差し出すか……? ……なんてな、そんなつもりはサラサラないさ)


 何より、敵の要求通りにバハムートの身柄を引き渡したところで、手筈通りにコロニーやコスモフリートの安全が保証されるとは思い難かった。それだけ、ナットにとってフロッグマンという男は信用できない人物であり、どこまでも思考の読めない厄介な相手でもあるのだ。


(なら一体どうすればいいんだよ……クソッ)


 様々な選択肢が脳内で渦を巻き、額が僅かに熱を帯びてゆく。しかし、思考が纏まる気配は一向になく、結論は出せそうになかった。

 無理もない。コスモフリートメンバーの中でも、ナットは所詮実戦部隊なのだ。戦術には長けていても、戦略についてはからきしだ。


(こんな時、おやっさんならどうする……?)


 ふと、そんな疑問が頭を過ぎった。

 あくまで声には出さず、脳裏でふと呟かれた小言。決して誰にも聞こえることのない、ナットの弱音だった。


「そう何でも背負いこむのはお前の悪い癖だな。なに、後は俺に任せろ。ナット」


 ポンッ。と頭に固く細い手を置かれ、ナットは思わず声を失った。すかさず声の主の方を振り返る。


「……おやっさん。大丈夫なのか……?」

「自慢じゃないが、俺の身体は少々頑丈に出来ていてな」


 今まで伸びていた人間が言える台詞でもないか。と、バハムートは笑ってみせた。


「バハムートさん! まだ無理をしないほうが……」


 これまでバハムートの容体を確認することをパウリーネから任されていたエリーが、責任感からかすぐに引き止めようとした。が、バハムートは彼女を手で制する。


「男が無茶をしようって時、女は見守ってやるのが定石さ。アレックスが目覚めた時の為にも、覚えておくといいぞ」

「なっ……! 茶化してる場合じゃないでしょう! 大体アレックスは家族であって……」

「ハハッ、わかったわかった」


 いつの間にか、トレーラー内の雰囲気が奇妙な高揚感に満ち溢れていることにナットは気付いた。この空気感は、戦闘前のコスモフリートのブリッジの空気と同質のものだ。つまり、このキャプテン=バハムートは、ほんの僅かなやり取りの中で、各々の抱える不安を取り除いているのだ。これは宇宙義賊コスモフリートの旗を掲げる艦長だからこそ成せる芸当であるといえよう。


「だがよ、艦長。具体的にどういった無茶をする気なんだ?」


 意見したのは運転席から窓越しにコンテナの方へ目を向けているキムだ。彼の言う通り、この状況において何か打開策があるとは、ナットからしても到底思えなかった。

 しかし、バハムートは僅かに笑みを浮かべつつ質問に応える。


「俺たちコスモフリートの理念を思い出せ。それが答えだ」

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