ファイタースピリット

ユウタ~暗唱者~

ファスト章~序章の始まり~

 地球誕生から47億年、人類誕生から700万年、知性を持ち道具を使い【特殊な力】を使い暮らす世界「ファイタースピリット」。俺はこの世界に生まれた________


 今から約一億年前、冥界神ハデスの全宇宙支配計画によって数々の神々が滅ぼされた。

 天空神ゼウスはこの状況を回避するため、人間たちの力を借りることにした。

 ゼウスは人間たちに神に匹敵する力【ファイタースピリット】を与えハデスと戦った、そしてあと一歩という所で、ハデスは「核玉」という宝玉を使い【ファイタースピリット】を打つために天体能力【アスフェルトオーラ】を作り【ファイタースピリット】の能力者達を追い込んでいった_________ゼウスは能力者達に神々の武器【神器】をあたえついにハデスと【アスフェルトオーラ】の能力者達を倒すことができた。


 戦いから50年がたち【ファイタースピリット】の能力者たちは自分たちの能力を強化し巻物に自らの究極の技を封印した。能力者たちは神の世界を救った英雄としてゼウスに守護神の地位を与えられ暮らしていたが、ある日ハデス神復活を企む一部の神々によって次々に殺されてしまった。ゼウスはすぐにその神々をとらえ処分したが能力者達の力がはじけ飛び世界中の生物の手にわたってしまった。ゼウスはこの事態に神々の危険を感じ空間を司る世界中の神々の力を借りて世界を「能力を持たぬ生物」と「能力を持つ生物」の二つの世界に分断し、ゼウスは頂点の神々と話し合い「罪はないがこのままこの世界に置いとくわけにはいかない」と世界を消そうとした___しかし【ファイタースピリット】の力による生命を守る力【ゼロバリア】によりこの世界は神々の力のとどかない世界となった。そうして生まれたのがこの「ファイタースピリット」の空間なのである。


 世界中の人間の手に渡った【ファイタースピリット】は人々のありとあらゆることを可能にしていった。人々は【ファイタースピリット】を使い自分たちの生活をよりよくしていった。その中で「属性」にも変化があらわれてきた、【ファイタースピリット】は基本「火」「水」「風」「雷」「光」「闇」「氷」の七つの属性に分けられるが、個性、性格、交わりなどにより変化していった。そうして生まれたのが「音」「溶」「地」「木」そして天才による天災で生まれたのが「虹」とよばれる属性、そして中でも「自然系」とよばれる能力を手にできず中途半端に【ファイタースピリット】が覚醒し生まれたのが「普通(ノーマル)」の能力者だある。属性は以上の計13属性である。


「以上、アトランテ神話の伝説である、後半に続く、、、か」


 俺は本を閉じた、この本によれば俺は「ファイタースピリット」の世界に生まれ「光」の能力を与えられた。

 現代の科学では人の心臓の霊力により発せられる力が性格やら個性やらで変化し【ファイタースピリット】を使うことができるという。

 しかし俺はこの本に書いてある事は本当だと信じている。

 神や神話を信じないやつもいる、この本に書いてあることはデタラメだというものもいた。

 科学こそ真理とかいうやつもちらほらいる、でもいつか必ず俺がこれは真実なのだと世界に認めさせてやる!

 俺はこの世界の果てに行って見せる!



 「無理」

 あまりにも早すぎる返答にたじろぐ、神が居ないと断言された世界で神話を信じ、果ての世界へと抱く思いを無理と即答されるのは悲しいことだ。

 ストーリー始まったばかりでなんなんだが果ての世界に行くにあたってある一つの『問題』解決しなくてはならない。


「お前なー、次元に行くだの神の国に行くなどそんな馬鹿なこと言ってる暇があったらこの成績を何とかしたらどうだ?」

 そう言いながら我がクラスの担任は成績表を見せてきた。

 んーひどい、とにかくひどい...そう、ある『問題』とはこれの事、俺は勉強がまるでできないのだ。

 実技1、数学2、国語1、社会&歴史1、科学1、そして一番重要な教科、それは能力操作訓練はなんと、1! とにかくひどいのだ。


「はぁ...よくこんな成績取ってて退学にならんな、不思議でならないよ。」

 ここ、「ファイタースピリット」の世界の中にある地球と呼ばれる星のとある国、大都市フォーストと言う都市にある能力者育成学園『GIA学園』、能力者育成学園の中でもエリートクラスの学園だ、こんな成績取ってたら普通は退学確定なのだが。


「はぁ...退学にならないのはレイジのおかげなのかぁ...」

 レイジ...この世界に生きている者なら大半がこの名前を知っている。

 その天才的能力で争いの絶えない国々をたった三日で統治、その後天才能力者レイジだの最高最大能力者レイジだの世界的にも有名になった。

 そしてこの学園を作った創立者でもあり俺の親友でもある、親友であるレイジのおかげで俺はこの学園に残っていられるのだろうか。


「はぁ...(本日二回目のため息)この成績をなんとかしないとなぁ」

 そんなことをつぶやきながら帰路に就くのだった。



 家に着くとアナライザーが夕食の支度をしていた。

 アナライザーとは「自立型ナビゲーターアンドロイド」の名前で家の家事などをしてくれている親みたいなのもだ。

 アナライザーと言う名前はこいつを作ったとある人が付けた。

 俺の両親は普通の人とは全く違った能力を持っていたらしい、それが原因で「異質者」と言われ、命を狙われいた。

 そしてある日両親は殺され、赤ん坊だった俺も「異質者」の子供という理由で崖から捨てられそのときに岩に腕をぶつけて大きな傷を負ってしまった。

川に流されていたところをアナライザーに助けられこのフォーストに連れてこられ以来アナライザーとともに暮らし、心優しい人たちと出会いレイジとも出会った。

 腕には傷跡が残っているがそのことで周りからからかわれたりはしない。


「デントさん?どうしましたか?」

 考え事をしながらボーっとしているとアナライザーが声をかけてきた。


「夕食が冷めてしまいますよ、ささっどうぞ」

 夕食のいい匂いが漂ってきて急に腹が減った。


「今日の夕食は唐揚げか」


「デントさんの好物でしょう?」


「あぁ」

 そんな話をした後夕食を食べ、風呂に入った。

 お湯につかり目をつむる。


「あぁ、成績が良くなる方法はないかなぁ」

 そんなことを考えながらしばらくお湯につかっていると何かささやくような声が聞こえてきた。


「た...けて」

 え?今なんか聞こえたような...


「たすけて」

 たすけて?なんだ今の...


「...」


「?気のせいか?」

 少し当たりの見渡してみるが特に変わったところはなかった、しかし風呂の中で妙な違和感を感じる。


「ん?風呂の中に何かある」

 風呂の中には鍵が落ちていた。


「なんで風呂の中に鍵なんて落ちてんだ?」

 一人そんなことを考えながら風呂を上がった。


 なぜ風呂の中に鍵が入っていたのか、もしかいたらアナライザーが風呂を入れた時に落として気が付かなかったのかな?

 ならアナライザーに返しておこう、俺は廊下を歩いてリビングに向かう。


「おーいアナライザー、風呂の中に...あれ?」

 そこにアナライザーの姿はなかった。


「さっきまでいたのに...どこいったのかな?」

 再び廊下に出てアナライザーを探す、しかし家のどこを探してもアナライザーの姿はなかった。


「おかしいな...どっかに出かけたのか?」

 しぶしぶ自分の部屋に行こうとしたその時、静かな空間に一つの音が生まれる。


「たすけて」


「!?」

 慌てて後ろに振り替えるとそこには一人の少女が立っていた。


「な、なんだこの子!?いったいどこから...」


「たすけて」

 たすけて?たすけてってなんだよ、てかこの声さっき風呂場で聞こえた声だよな。

 なにがどうなってんだよ?


「たすけて」


「ま、まてまて、君いったいどこから入ってきたんだよ!?ドアの鍵かけ忘れたのか?いやいやそうじゃなくて!かけてなかったにしても人んちに勝手に入ってくんなよ!!泥棒か!?泥棒なのか!?なら警察呼んで......」


「うるさい」


「...!」

 少女の一言で我に返った。


「そんなことはどうでもいい、とにかくたすけて」


「なんなんだよ君、さっきからたすけてたすけてって...」


「おわれてるの、たすけて」


「なんだおれに言うんだよ!?そーゆーことは警察に言えばいいだろ!?」


「...」


「は!もしかしてこの子が一国の姫でその国を救う過酷でロマンあふれる冒険が始まるとか...」


「...」


「ねーね―君、君はどこから来たんだい?」


「しらない」


「しらない?覚えてないの?」


「しらない」


「えぇ、そんなの助けようがないじゃないか」


「あなたのうりょくしゃでしょ?たすけて」


「能力者でしょって、そんなのこの世界のだれでも使えるだろ...」


「そうなの?」


「?」

 この子は一体何なんだ、そして俺には今やらねばならないことがある。


「...とりあえず服着ていいですか?」


「...」

 少女は小さくうなずいた。

 

 服を着た後リビングに行くと少女がソファーに座っていた、髪は白くて長く腰らへんまである、服も白いワンピースのようなものを着ている。

 俺は少女の前のソファーに座った。


「...」


「...」

 しばらく沈黙が続く。

 時計の針の音がいつもより大きく聞こえる気がした。


「たすけてくれるの?」

 少女が質問してきた。


「助けるって言ったってなぁ...具体的にどうすればいいんだよ」


「まもって」


「守ってって誰から?」


「へんなひと」


「変な人!?」

 少女を追いかける変な人...ただの変態じゃないか。


「...」


「そーゆーことならやっぱり警察に行った方がいいんじゃないかな?」


「そのけいさつってのものうりょくしゃなの?」


「いやだから、この世界の人ならだれでも使えるの」


「わたしはつかえない」


「え?」

 使えない?どういうことだ?


「君、能力が使えないの?」


「うん」


「そんなことって...」

 ありえない、この世界にいる人間ならだれでも使えるはず...そう『この世界の人間なら』...


「もしかして」


「?」


「君、別の次元から来た人?」


「?」

 うーん、俺の考えすぎか?

 てかどう考えても神話の読み過ぎだな、いきなり見知らぬ少女を別次元の人間扱いとは。


 それにしても白いなぁ、肌も髪も服も全部白い。

 まるでリアルに作られた人形のように白く、唯一胸元のペンダントだけが金色に輝いている。


「そういえばさ」


「?」


「俺が能力者だって誰から聞いたの?」


「しらない」


「はぁ?」


「よくおぼえてない」


「うーん」

 記憶喪失?新手のギャグ?なんでこの家に来たのだろう...

 俺はこんな子知らないしアナライザーの知り合いか何かかな?


「ふむ、どうしたものか」


「...」

 とりあえず警察にでも行くか?


「.....!」

 少女が勢い良く立ち上がる。


「な、なんだよ急に」


「くる」


「え、」

 少女のその一言と同時に大きな爆発音が夜の街に響き渡った。


「なんだ!?今の爆発!?」


「あいつらがきたの」


「あいつら!?」

 あいつらってなんだ?さっき話してた変な人?


「ね、ねー君あいつらって...」

 質問をしようとした時、再び爆発音が聞こえた。


「な、なんなんだよ!?」

 急いで外に出た。


「あれ」

 しかし周りを見まわしたがあれだけ大きな爆発音が聞こえたにもかかわらず煙や、炎などは上がっていない。

それどころか街の人たちも全く気付いていないようだ。


「ど、どうなってるんだ?」


「あいつらのしわざ」


「どういうこと?」


「ときがもどったの」


「はぁ?」

 時が戻った?なんだよそれ、時を戻す能力?そんな力、聞いたこともないぞ...


「まもって」


「守ってって...と、とにかく家に入ろう」


「わかった」

 少女はうなずき家に入っていく、いったい何が起きているのだろう...?


「はぁ...」

 小さくため息をつく。


「...」

 少女はただ俺の事を見ながら黙っている。


「とりあえず...今日はもう寝るか」


「...」


「君は、えっとどうしよう」

 うーん、知らない子とはいえ女の子だしなぁ...ここは紳士らしく俺のベットで寝ていいよ(キラ☆

 みたいなこと言ってみるか?


「えっと君...」


「きみじゃない、ロルネ」


「え?」

 少女が反論してきた。


「わたしのなまえはロルネ、ロルネ・ムイセレーバ」


「ロルネ...」

 この子の名前、ムイセレーバって確か...


「ねむい」


「え、あ、えっと俺のベット使っていいよ」


「どこ」


「二階の...いや俺が案内するよ」


「...」

 少女はうなずく。

 てか自由かこの子!「たすけて」の次は「守って」や「ねむい」って...やっぱりどっかの国の王女様なんじゃねーの?

 少女を部屋に送り寝かす、ベットに入るとすぐ眠りについた。

 よほど疲れていたのだろうか?


「...」

 少女を見ながらしばらく立ち尽くす。


「...白い」

 って俺は変態か!確かに白いけどこんなまじまじ見てたら変態と間違われてもおかしくないぞ。


「俺はソファーで寝るか」

 決して広い家ではないのでこの家にはベットは俺の部屋にしかない、もちろん布団もない。

 アナライザーはロボットだけど一応寝る、立ってだけど。


「そーいえばアナライザー帰ってこないな」

 ほんとにどこに行ってしまったんだ?


「ま、いずれ帰ってくるだろ」

 俺はそう思い今日のところはひとまず寝ることにした...


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