キャラクターステータス2

 ウィザードリィ・ゲーム2 言霊の幸わう国




○草上秋乃ノキア

 魔力性質:流形

 魔力総量B 魔力出力C(B) 魔力制御B 魔力耐性D(C) 精神強度D(C) 身体能力D 魔力感応D(C)  術式構築C


 今回のヒロイン


 あふれる才能を持ちながらも、それを深めようという意志がない原石のような少女。

 幼いころに神童の論文を読んで情熱をなくし、現在は手なりでしか魔法の修練を行っていない。それでありながらも、本気を出せば学年上位の実力があるため、十分過ぎる才能であるといえる。


 魔力総量と魔力制御の2つは、彼女の場合は天性のものであり、この二つが優れていることで、ろくに修練を積まずとも大抵の魔法式を組むことが出来る。

 なお、測定試験において、『より早く』『より単純に』結果を出すことを目的とした行動ばかりをとっているので、全体的な測定値はあまりあてにならない(補足で書かれた数値が本来のものであろうと考えられる)


 魔法士としてのスタイルは後方支援タイプ。自身で戦うよりも、後方から味方を支援したり、罠を張って遠距離から魔法を撃ち込むことを得意としている。本来であれば、実技B科が中心で行う支援魔法士の選択を行うべき性質である。

 魔力性質が『流形』なので、霊子属性のチャンネルを開いている。本来ならば霊子属性の魔法を扱うに長けているはずなのだが、彼女はチャンネルを開いたことで霊子属性を『より深く理解できる』が故に、手なりで扱うことができなくなっている。ノキア自身のセンスで他の属性はなんとなくで扱えるのだが、霊子属性に関しては本気で修練を積まないと納得できないのである。



 使用デバイス

 メインデバイスはFunnyカンパニーの携帯端末型デバイス『アクセラ』。魔法デバイスとしての機能以外にも、日常生活における通信や情報処理も出来る多機能デバイス。

 最も大きな特徴として、要素部のメモリスロットが五つしかない。ウィザードリィ・ゲーム公式ルールにおいて最大八個まで許される要素部であるが、これを少なくする代わりに、一つ一つの要素(マテリアル)の容量を大きく取ることが出来る。


 サブデバイスは草上エレクトロニクス製のリモコン型とチョーカー型。それぞれに『スパイダーウェブ』と『身体強化』の魔法式が組まれている。




 主な魔法

・『スパイダーウェブ』

 魔力で編んだ糸をフィールドに張り巡らせる魔法。太さと強度を調整でき、索敵や拘束、果ては切断など、多種多様の効果を付与することが出来る。

 一人で使う場合は、相手の動きを制限するために使うのだが、トゥルクとのバディ戦で利用する場合に限り、『ラオムシャッハ・ナイトツアー』というあわせ技を使うことが出来る。



・『ケース』術式、『ボックス』術式

 デバイスにある八つの要素部のうち、四つを埋めているマテリアルを起動する際に使用するショートカット。

 魔法式は本来、要素部と変換部を組み合わせて、大きな効果を生むように作るものだが、草上ノキアの場合、持ち前の魔力制御と魔力出力の実力を利用して、二工程を経た魔法式をマテリアルとして登録し、要素部に組み込んでいる。

 容量が大きくなる上に起動が難しく、また変換がしづらくなるため、本来マテリアルには最小単位の要素を登録するものであり、ある程度の実力者でも立ち回りを優先して一工程のマテリアル位しか込めないものだが、ノキアの場合は二工程マテリアル(負荷値『2Proダブ』)を組み込むことで、使える魔法の幅を広くしている。


 基本的には、物理属性である『大風』『大火』『大気』の三つのマテリアルを『ケース』。概念属性である『生命力』『大盾』の二つを『ボックス』として登録している。



・『魔弾(バースト)』

 霊子属性の魔法。魔力の弾丸を放つ。

 彼女の魔弾は、貫くためではなく砕くために作られたものであり、対象に被弾した瞬間破裂するようにできている。そのため、狙った対象に当たらなくても、近くに被弾さえすれば相手に余波でダメージを与えることが出来るようにデザインされている。






○デイム・トゥルク

 原始『トルコ人ターク


 因子『騎士ナイト』『傭兵ポーン』『騎兵ルーク』『天衣無縫クイーン』『冠ミトラビショップ』『虚偽フェイク』(『十字架キング』『プレイヤー』)

 因子六つ。ミドルランク(本来は七つ。ハイランク)


 霊具『プロモーションポーン』

 チェスの駒。ステータス変化に乗じて、武器の形態を変える。


 ステータス

 筋力値C 耐久値C 敏捷値C 精神力C 魔法力C 顕在性C 神秘性C



 草上ノキアのバディ。

 チェス人形のファントム。草上エレクトロニクスの霊子研究部門において召喚され、都合八回の降霊実験の果てに因子七つのハイランクとして発生する。


 ファントムの発生には二つのパターンがある。

 一つは、何らかの強大な概念の元に、思念や信仰などのエネルギーが集まって形をなしたパターン。

 二つ目は、強い来歴を持つ物品などから因子を抽出したパターン。

 七塚ミラや千頭和ナギニの様な霊子災害からの発生は前者のパターンで、トゥルクの場合は後者である。


 チェスを指す人形という概念から召喚されたトゥルクは、最初は『プレイヤー』の因子しか持たない、無力な少女だった。それから一年の年月をかけて、因子を七つまで重ねることに成功した。これほどの因子を重ねることができたのは、チェスの駒に関連付けた召喚だったことが大きい。


 ファントムとしての彼女の性能は規格外に近い。遠、中、近距離全てに戦闘手段があるほか、ステータスの変動を任意に出来るため、相手に合わせた戦闘を行うことが出来る。一つのステータスを上げるためには他のステータスを下げなければいけないものの、それはアクティブスキル等でカバーできるため、多くの場合において相手よりも優位に立つことが出来る。

 彼女を倒すためには、千頭和ナギニのような攻撃を通すのが困難であったり、純粋に強力な存在をぶつける必要がある。

 あるいは今回の石鎚ホウキのように物量戦を仕掛けるというのも一つの手であるが、その場合も『クレイジーハウス』を使われると対等以上の勝負に持ち込まれてしまう。


 ちなみに、作中において最強存在として例に出している千頭和ナギニと戦う場合、プロモーションクイーン状態でようやく肉薄できるレベルであり、時間制限内に倒せる可能性はかなり低い。アクティブスキルの一つである『スキュア』ならばナギニの防御も貫通するが、その際には筋力値以外のステータスは最低限に下がっているため、反撃を食らうと一撃で霊子体が消滅するので、紙一重である。



・パッシブスキル


 『傭兵』・・・『プロモーション』

 傭兵のパッシブ。各コマの要素ごとにステータスを変化させる。

 刀、剣、薙刀、槍、弓矢、鉤爪、斧といった武器と共に、ステータスを変動させる。


 『騎士』・・・『ナイトツアー』

 騎士のパッシブ。連続攻撃を行うと、その度に敏捷地が上昇する(最大八段階)

 これとノキアの『スパイダーウェブ』を組み合わせることで、『ラオムシャッハ・ナイトツアー』という技を繰り出して敵を殲滅する。


 『冠ミトラ』・・・『スマザードメイト』

 ミトラのパッシブ。神秘性の高い相手に対しても、通常と同じダメージを与えることが出来る。


 『騎兵』・・・『キャスリング』

 騎兵のパッシブ。主人の危機の際、自身と立ち位置を入れ替える。

 あらかじめ発動タイミングを決めておくことができ、ノキアとトゥルク、双方が任意のタイミングで発動することが可能。


 『天衣無縫』・・・『プロモーションクイーン』

 天衣無縫のパッシブ。自身の体力が一割以下で発動可能。

 神秘性と顕在性以外の全てのステータスを一定時間Aランクにする。


 『虚偽』・・・『スウィンドル』

 虚偽のパッシブ。『十字架』と『プレイヤー』の因子を開放する。『プロモーションクイーン』の発動時間が終了すると自動的に発動。また、任意に発動することができる。


 『十字架』・・・『ステイルメイト』

 十字架のパッシブ。一定以上のダメージを受けた際、対象に自分のダメージと同等のダメージを与える


 『プレイヤー』・・・『グランドマスター』

 プレイヤーのパッシブ。自身の制御下に置いた使い魔を使役することができる。



・アクティブスキル

『センターカウンターディフェンス』

 敵の攻撃力に対して、同等の筋力値で対向する


『スキュア』

 全てのステータスをEにまで下げる代わり、一瞬だけ筋力値をSランクにする


『ツークツワンク』

 攻撃判定に成功した際、相手は次の攻撃を必ず防御しなければならない(『ラオムシャッハ・ナイトツアー』の発動のために併用使用)


『エイトクイーン』

 プロモーションクイーンの時、最大攻撃値の武装を八つ召喚し、連続攻撃を加える。大剣、大刀、大斧、大槍、大弓、大槌、大鎌、大爪の八つであり、それぞれAランクの神秘性と顕在性を持つ


『パペチュアルチェック』

 相手がこれまでに発動させたアクティブスキルの一つを強制的に発動させる事ができる。


『クレイジーハウス』

 一定時間内(長短によって魔力消費が変わる)に倒した敵のコピーを作り出し、使い魔として制御下に置くことが出来る。






○久能紫苑シオン

 魔力性質:無形 

 魔力総量E 魔力出力F 魔力制御D 魔力耐性E 精神強度B 身体能力D 魔力感応C 術式構築B



 『まだ青き出藍の鏡』時点から、大きな変化はない。

 今回は自前のデバイスを持ち込んでいないため、殆どの魔法式を使うことができない状態で天知ノリトとの勝負に臨んだ。



 使用した魔法

・『受動消音魔法パッシブノイズキャンセラー

 久能シオンが神童時代に開発した魔法式。

 指定した空間に『概念・振動』のマテリアルを付与し、任意に操作することが出来る。これに『反射』のコンバータを加えることで、向かってくる『音』と逆位相の音を重ね合わせ、無音化することが出来る。

 『概念・振動』のマテリアルはすでに三工程を経たものを圧縮した負荷値『3Proトリル』であるため、大きな容量を食う。

 このマテリアルの特徴として、『誰もが使える』ようなテンプレートとなっていることにある。人によっては、もっと容量の少ないマテリアルを複数利用して変換した方が効率がいいのだが、それらはその人しか使えないような記述式になっており、汎用性は低い。魔法式は多くの場合汎用性が低いものであるため、こうした万人が読み込める魔法式は、それだけで評価の対象となる。


 この『振動』のマテリアルは、コンバータを通さずともそれ単体で自動発動が可能の代物であり、多くの注目を集めた。事前に魔力さえ通しておけば、指定された状況で自動発動するという利点を重視され、商品化に当たっては軍事企業が独占的に扱えるよう特許契約を結んだのだが、自律化させるためのコンバータの開発に手間取り、五年の期間、ほぼ商品化の日の目を見ることなく時が過ぎてしまった。

 一応、テンプレートとしての魔法式は公開されているので、個人利用であれば誰でも利用できる。ただし、その後一工程から二工程で似たような効果を生む魔法式が複数出現したことで、商品化すらされないこのマテリアルは、ほぼ忘れ去られてしまった。



 カニングフォーク

 『扶桑国の龍神』

 特A級霊子災害。大地の恵みを操り、生命の息吹を促すカニングフォーク

 人身御供を因子とするカニングフォークであり、災害を龍という形として崇め、人身御供によりその災害を沈めようとする呪術形式。怒りを沈めた龍神は、こちらが崇め奉る限り、その力で臣民を守る。

 

 久能シオンはこの龍の力を、『龍神』から『悪竜』に、『扶桑』から『世界樹』へと転換することで元の因子を弱め、植物を操る力として使いこなせるようにしている。




○七塚ミラ

 原始『合わせ鏡』

 因子『鏡』『■■』 因子■つローランク

 霊具『七面鏡』

 ステータス

 筋力値E 耐久値D 敏捷値C 精神力B 魔法力C 顕在性D 神秘性C



 基本的なステータスに変化はなし。



・パッシブスキル

 『■■』・・・『影見かげみつる触穢しょくえ

 ■■のパッシブ。割れた鏡から溢れ出た黒い霧のようなもの。これに触れると、魔力や生命力と言ったエネルギーを奪われる。奪ったエネルギーはどこに行くともなく霧散し消滅する。

 天知ノリトと向かい合った際に一瞬だけ発現したものの、試合後にはこの因子も消滅していた。






○天知祝詞ノリト

 魔力性質:無形

 魔力総量A 魔力出力B 魔力制御C 魔力耐性C 精神強度D 身体能力D 魔力感応B 術式構築D


 天知家第七十二代目当主。

 天知家はアニミズムからの派生であるシャーマニズムを元にした家系。神霊の降霊ではなく、上位概念との交信によって神秘をなそうとする考え方。言霊はその一環であり、最も成功したカニングフォークであった。


 天孫降臨によって降りてきた天津神の末裔。

 神という存在が本当にいたわけではなく、当時外来の存在であった魔法の才能を持つ者たちが、土地を治める有力者たちを侵略し平定した結果生まれた、創世神話が元であると考えられている。

 神の概念のもととなった存在の末裔であるため、神咒宗家の中でも天知家の神秘性は格段に高い。また、現代にも通じる『言霊』という概念を伝え継ぐことで、彼らはその神秘性を保ち続けていた。

 天知ノリトが他の世代に比べてことさら能力が高いのは、天知家が行ってきた外法の結果でもある。七十二代も続いていることで、彼らの血も原初の頃からするとかなり薄くなっているため、それを濃くするために、近親姦や異種姦、果ては墓荒らしによる死者の遺伝子の入手や、他の神咒宗家の子供をさらったりと言ったことを行っていた。そうして何代も血を重ねてできた天知ノリトは、天知家の最高傑作と言って良い。



 現人神

 その神格は『言霊の幸わう国』

 言霊の幸わう国とは、言霊によって栄える国という意味で、そのまま日本のことをさす。天知ノリトは日本の化身であり、故に日本国内においては絶対的な能力を発揮する上に、海外においてもAランクの神秘性を保つことが可能。

 言霊の神である事代主の神格を七割奪っているが、その全てを使いこなすには至っていない。

 本来は、呪法を発揮するための呪文が存在するのだが、ノリトは面倒臭がって使っていない。彼の場合、感情に任せて発したほうが強力な呪的効果を発揮するので、あながち悪いわけではないのだが、その分精神値による対抗判定でマイナス判定が入る。

 また、『言霊の幸わう国』という概念は、『言霊によって幸せがもたらされる国』という意味であるため、祝福の言葉こそが絶対的な意味を持つ。逆に、不幸事や、意に沿わない強制などはワンランク強制力が低下する。

 呪言を受ける側が、それを言祝ぎとして処理することにより、レジストすることが可能。これを避けるためには、言祝ぎを呪言に換える手順を踏む必要がある。




・主な魔法


 パーソナルギフト

 『言挙ことあげ』

 言葉に魔力を帯びさせる才能。彼の言葉は何をしなくても魔力が乗り、行動の後押しを行う。また言葉を紡ぐことで情報界へのアクセスをすることが可能となる。



 カニングフォーク

 『清音きよねのコトタマ』

 言葉にすることで心のあり方を示し、実現させる力。

 彼の言葉には強制力がある。それはルールそのものであり、それを否定するにはAランク以上の神秘性か精神力が必要。

 法則ルールであるがゆえに、例外に対しての防備は甘いが、ノリトの価値観が更新されるごとにそのルールも更新される。人間的な感性を持つ以上、絶対はないものの、彼の意志が続く限り、理論上は際限なく世界を支配し続けることができる。

 本来は濁音や半濁音の混ざらない、五十の音というふうな縛りがあるのだけれど、天知ノリトの存在がチートなのでその縛りはほとんど無視されている。




石鎚いしづち法起ホウキ

 原始『石槌山法起坊いしづちやまほうきぼう


 因子『呪』『使役』『縛』『鬼』『修験』『因果』

 因子六つ ミドルランク


 霊具『日本国現報善悪霊異記にほんこくげんぽうぜんあくりょういき

 日本の平安時代に成立した仏法説話集の原典を、紙片の形で身にまとっている。


 筋力値B 耐久値C 敏捷値C 精神力B 魔法力B 顕在性C 神秘性B



 修験のファントム。

 ファントムとしてはかなり強力で、呪術による身体強化での接近戦だけでも、並のファントムなら打倒できる。その上、鬼神や使い魔を使役し始めたら物量戦になるので、集団戦に特化したファントムでもない限りは突破は難しい。本来、これほどの鬼神を操るには尋常じゃない霊力が必要になるのだが、そこは契約主であるノリトが規格外なのでクリアしている。


 ただ、純粋に固い相手や、攻撃力が高い相手など、何かに特化したファントムに対しては、対抗手段を持たないためにあっさりやられたりもする。トゥルクに勝てたのは、、不意打ちができたのと正体を見破ることができたからで、もし彼女がスピード特化した上で、目の前でスキュアの一撃を決めるという戦法をとり続ければ、競り負けた可能性が高い。


 ちなみに、彼が出した顔を隠した小柄な使い魔は、『一言主神』の鬼神化した姿。その言霊によってトゥルクの隠した正体を表に出した。


 その正体は、役小角の大天狗としての名、石槌山法規坊。

 役小角本人ではなく、同一視されることとなったとある天狗が人格として現れている。

 彼の人格となった存在は、日本の鎌倉時代に生きた医師のもの。人体について知るために道教を学んだが、信仰心などかけらもなかった。霊山である石槌山の近くに身をおいて、治療と称し呪術の真似事をしていたのだが、それが存外的確であり、結果的に多くの山伏たちの魔除けに貢献することとなった。その功績から死後天狗として祭り上げられ、やがて役小角と同一視される石槌山法規坊となる。

 性格は軽薄で快楽主義。生きているのなら楽しんだものが勝ちという性格で、だからこそ修行に身を置き禁欲を常とする山伏という存在に苦々しい思いを抱いていた。はじめは嫌がらせのつもりで、途中からは本気で棄教させようと思い始め、医師として石槌山の修行僧たちの面倒を見る内に、いつのまにか天狗の霊格を得るほどまでになっていた。

 役小角と同一視されることで、役小角が積み上げた伝説の数々を知識として有することになったのだが、ホウキからするとその修験僧としての記憶は苦々しいものでしかなかった。「もっと酒とか、女とか、博打とか、お前に楽しい思い出とかなかったのかよ! 使い魔いじり倒すだけの人生とかアホじゃねぇのか」とはホウキの言。





・パッシブスキル

 『呪』・・・『孔雀経法くじゃくきょうほう

 呪のパッシブ。役小角が納めた孔雀明王の呪法により、魔法や呪的なものに対してAランク相当の耐性を得る。また、同ランク以上の呪いであっても、解法を探ることが可能となる。作中において、七塚ミラの『万華鏡・鏡迷宮』の拘束を解いた。


 『使役』・・・『石槌山の大天狗』

 使役のパッシブ。ホウキより神秘性の低いものは、石鎚ホウキに対して攻撃する際、魔法力と神秘性が一時的に1ランク低下する


 『縛』・・・『不動明王の秘法』

 縛のパッシブ。鬼神を捕縛し使役する秘法。この因子により、複数の式神を召喚しても、ホウキは一体一体に対して同じだけの影響力を保つことが出来る。


 『鬼』・・・『大峰八大金剛童子たいほうはちだいこんごうどうじ

 鬼のパッシブ。役小角を守護する金剛童子の神格を自身に付与できる。「悪除」「除魔」「業障消除」「障乱諸魔降伏」「行者守護」などの文字を刻むことで、一時的にステータスを上乗せすることが可能。


 『修験』・・・『山伏信仰』

 修験のパッシブ。山やそれに類する土地に置いて、霊脈からのバックアップを得ることが出来る。


 『因果』・・・『神変大菩薩しんぺんだいぼさつ

 因果のパッシブ。石鎚ホウキに役小角が積み重ねた知識を付与する。これにより、彼は役小角が修めた呪術の全てを知識として持っている。



・アクティブスキル

 『九条錫杖経くじょうしゃくじょうきょう

 経を唱えることで自身のステータスアップと、相手へのステータスダウンを行う。


 『葛城の一言主』

 一言主の神格を使役し、相手のステータスの変化を無効にする。相手に神格がある場合はそれを一時的に大幅に低下させる事ができる。また、隠蔽されたものを露出させることが可能。


 『役優婆塞えんのうばそく説話』

 役小角が行った神秘の再現を行う。行えるのはあくまで再現までで、その神秘を継続するためにはホウキ自身が呪術を行使する必要がある。無数の使い魔を召喚したのはこのスキル。


 『黄帝内経こうていないけい

 中国最古の医学書。道教由来のもので、石鎚ホウキが生前に会得した鍼術。治療における的確な経穴を瞬時に把握し、気功で編んだ針を打ち込むことが出来る。




○八重コトヨ


 狩衣に烏帽子をかぶった妙齢の女性。

 正体は八重事代主神

 八神殿の第八殿を司る言霊の神で、またの名を国譲りの神。

 日本神話の芦原中国平定において重要な役割を果たした神格。国津神が天津神へと芦原中国を譲る説話において、大国主の代わりに国津神の代表として国譲りに承知をした。


 このエピソードから、重要な物事の決定を司る神として扱われる。また、事代は『言知る』の意味で『神託』を司る神でもある。

 言葉の響きから『一言主』とも同一視されたり、国譲り神話において釣りをしていたことから釣り好きとして海と関係の深い恵比寿と同一視されたりと、本編で彼女が言ったとおり、様々な神格が統合されて今の彼女になっている。

 

 天知家の外法により誕生した天知ノリトが、『言霊の幸わう国』として事代主の神格を半分奪ったため、半ば強引に人間として顕現してしまった。

 神格を取り戻すために天知家全体に呪詛を送ったところ、まだ赤ん坊だったノリトによって呪詛返しをくらい、更に二割奪われて、天知家に縛られることになる。

 すぐにでも神格を取り戻すことは可能なのだが、ノリトのことを興味深く思っており、彼の行く末を見守るという理由で顕現し彼のそばにいる。霊子生体ではないのだが、バディ契約を結んでいるのはそのため。従属するという形で、ノリトに力の使い方を授けようとしている。


 実体化することによりそのほとんどの神格を失っているが、それでも通常の魔法士やファントムでは遠く及ばない『神咒』を扱う。



・神咒

 魔法とは、魔力を通じて情報界にアクセスし、一部の情報を書き換える手法である。

 それに対して神咒とは、情報界と繋がった状態で、手ずから情報を変換することが出来る。八重コトヨは人間界に実体を持ちながら、常に情報界を認識している状態と言える。

 彼女ほどではないが、霊子生体ファントムとは、おのおのが持つ因子が情報界とつながっているため、強大な力を振るうことが出来る。また、人間においても、天知ノリトの場合は『言霊』という限定的な点で情報界とつながっている。

 そもそもカニングフォークとは、マナを使うことで自身を情報界につなげる技法であり、それ故に操作を誤ると、情報の改変に失敗して身体損傷というフィードバックを負うことになる。


 八重コトヨの神咒は、言葉という形で行使される。彼女が口にしたことは、それが真実になるように現実が改変される。彼女の言葉はあくまで命令の意思表示に過ぎないため、物理法則の制限を受けない。具体的に言うと、例え空気がなくとも彼女の言葉は発音される(シオンが行った言霊封じもこれによって無効化された)



・ファントムとしての事代主

 神をそのままファントムとして召喚することはまず不可能であるが、事代主には鬼神にまで落とされた一言主という側面があるので、召喚は可能。

 もし最高の状態で召喚できた場合のステータスがこれ


 因子『従属』『国』『声(言葉)』『託宣(神託)』『実現』『豊穣』『海』『憑依』『神格』

 因子9つ。ハイランク

 筋力値D 耐久値C 敏捷値C 精神力A 魔法力B 顕在性C 神秘性A












 最後に。

 この物語は、久能シオンによって変えられた三人の才女の物語でもある。

 その三人とは、七塚ミラ、草上ノキア、そして、久我アヤネの三人。


 カール・セプトの鏡回廊だったミラは、シオンに解呪されることで己の存在を否定された。

 魔法を希望にしていたノキアは、シオンの論文を見て情熱を失った。

 そして、相方であった久我アヤネもまた、シオンによって変えられてしまった。


 その変化は決してマイナスなだけではなく、長い目で見ると必要な挫折でもあった。

 そんな変えられてしまった三人が、今度は挫折してしまったシオンを変えていくというのが、この物語の主題でもある。


 七塚ミラは自身を取り戻すためにウィザードリィ・ゲームに身を投じ、シオンを表舞台に引っ張りだした。

 草上ノキアは身を焦がすような感情を思い出し、同時にシオンに人としての愛を与えようとしている。

 そんな中、久我アヤネだけは、未だシオンとの過去に囚われている。


 これは、そんな二人の神童が、過去の精算をする物語。






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 NEXT GAME



 草上家のお家騒動から、一ヶ月半。


 十一月中旬。テクノ学園は、そこらじゅうでマギクスアーツの試合が行われていた。

 例年、年明けに行われる魔法士の冬の祭典『ユースカップ』。新人バディを出場条件としたこの大会の、学内代表を決めるためのレーティング戦が行われているのだ。

 毎日更新されるランキングと、それを決めるレーティングを競って争う生徒たち。

 シオンとミラもまた、持てる手をつくしてレーティング戦に臨んでいた。


 そんな中、一年研究科クラスに、一人の少女が現れる

 名を、久我アヤネ。長いこと不登校だった少女が、唐突に登校を始めたのだ。


 アヤネの突然の登校に驚くシオンだったが、彼を尻目に、アヤネは次々とレーティング戦を勝ち抜き、ランキングを挙げていく。

 互いに意識し合いながらも、二人は代表戦の発表まで、深くかかわらずに居た。



 そして、代表戦となるリーグ戦の組み合わせが発表された日。

 アヤネはバディである飛燕を連れ、シオンとミラを襲撃し、ミラを行動不能にさせた。



 果たして、彼女の真意は――




 NEXT STAGE




 ウィザードリィ・ゲーム3 抗いの拳





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