サプリメントはほどほどに。

佳原雪

陰茎増大サプリメント

事の始まり

「聞いてほしい……陰茎が、その、大きくなっていて……困っているっていうか……」

■■■だ。◆◆は突然かかってきた電話に驚くこともなく、こともなげに答えた。

「珍しいな、きみから求めてくるなんて」

それにしても随分と気弱なものだ、と◆◆は思う。■■■はいつもこうだ。

「いや、そうじゃない。その、陰茎増大サプリを試してたのは知っていると思う。どうやら本物を引いたらしくて……」

◆◆は絶句した。頭を押さえてかぶりを振る。気にしていたのは知っていたが、ここまでとは。

「きみ、まだそんなことをやっていたのか……」

「……と、とにかくだ! ちょっときて、見てほしい」



サムターンがガチャリと回る。◆◆は声をかけ、部屋に入った。

「見てほしいって……うわ、なにしたの」

寛げられた前からは人間の腕ほどのブツが覗いていた。三十センチはあるだろう。個人差の言葉で納得できる範囲を超えた大きさだった。

「……経緯は言った通りだ。服用してからどんどん膨らんで、何とか止まっていまこんななんだ……どうしよう」

■■■は目に見えて落ち込んでいる。無理もない。過ぎたるは及ばざるがごとし、何事も程度問題だ。これはどう考えても大きすぎる。

「どうしようって……ストップストップ、膨らんでる! 止まったってさっき言ってなかったっけ」

■■■は赤面した。

「ちがっ、これは、その」

「……興奮したか」

問いに陰部がびくりと震え、言い逃れできなくなった■■■はしょげた様子で頷いた。

「ええと、その、はい……」

「……まあ、いいけど」

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