好きを教えて下さい

@RuriUk23

第1話

まだ肌寒い3月後半。

シトシトと降る雨が早咲きの桜の花を散らしていった。

私はまだあの日から一歩も進めていないと言うのに時間だけは過ぎ去っていって

あれから2年以上も経った。


「付き合お」そう言われたのは高校1年の夏だった。

数年間片想いをしていた1つ歳上の人からの突然の言葉。

兄のような彼と知り合ったのは知り合いの開いた催し物だった。

毎年2回の催し物に何度も参加しているうちに仲良くなり遊びに行くようになっていた。

私は彼を信頼していたし信じていた。

彼の誕生日、一緒にテーマパークに行く約束をした矢先の付き合おう発言に、彼の事が好きだった私には断る理由なんてなくて、お付き合いすることになった。


彼は学校をやめて通信に通っていた。色々理由があるんだろうと私は気にしないでいた。

彼は喫煙者だった。

禁煙を勧めてもダメだった。

彼は飲酒もする。

止めてもダメだった。

不安な事が多かった。どちらかというと私はそう言う事が嫌いだ。

1年生の時は学級委員をしていて2年には生徒会に入ろうと心に決めていた私は彼の行動を見る度心が傷んだ。

テーマパークが初デートだったのにすぐ喫煙所。

スカートの長さも指定される。

だけど仕方がない。彼のことが好きだから大目に見よう。そう言い聞かせた。

彼とお土産屋さんに寄った。結局欲しいものもなく店を後にした。そしたら彼が私にひとつのストラップを差し出した。

「これやるよ」笑っていう彼。「ねぇ、わたし達、レジに行ってないよね?」そう言うと彼は「しー」と笑った。

悲しくなった。こんな人だったなんて。

それに「お前には金を出して物を買う価値はない」と言われてるような気もした。

「いらない。返してきて」そう口にした私に彼は「えー、折角持ってきたのに。ひどい。」と言った。

いらない。そんな物なんて。

気付いたら冷たく言い放っていた。

テーマパークの帰り、私の両親が帰り道彼を家まで送ってくと言い出した。

彼は喫煙者である事やその他諸々を隠した。

表の彼しか見てない両親は彼をとても気に入った。

微妙な気持ちで私はそれを見ていた。両親を騙しているような気がして。


だけど嫌いになりきれなくてズルズルとデートを重ねていった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

好きを教えて下さい @RuriUk23

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ