第5話

☆☆ミユキ視点☆☆


イツキが家を出て行くと言う。

何度も止めたけど、その気持ちは変わらないようだ。


「ほんとに行くの……?」

「うん」

「気持ちは変わらない?」

「僕は……「うん?」」


コレが最初で最後のチャンスだろうか?

私は弟の目をジッと見返した。


「姉ちゃんが大好きだよ」


「え……?」


それを言われた瞬間、思ったんだ。

イツキの目が真剣だったから、そういう意味だと分かった。

イツキは私を、そういう意味で好きなんだって。

恋しているんだって。


「嫌だろ? 忘れて」

「違っ!」

「何が?」

「……知ってたんだね。ごめん!」


私も知っていたんだ。

血が繋がらないことを。

ずっと悩んでいたんだね。

幼い頃に知った後、私も悩んだんだ。


だから、去っていくんだね。

ごめん。


「……もう止めないよ」

「それって、僕フラれたのかな……?」


乾いた笑いをする弟に、否と首を振った。


「私から逢いにいく」


「バカじゃないの?」

そうかもしれない。


「無理に好きになったりはしない」

「だったら!」


「待っててほしい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る