カクヨムが返済すべき情報とは

 まず、従来のコンテストのようにユーザーから情報を遮断し、自分自身に結果の責任を取らせる、つまりユーザー本人をスケープゴートとするこれまでのやり方はカクヨムでは可能だろうか?

 それはまず無理である。他者が存在する限り、大部分の人間は自分を責める前に、まず他者を責める。そして他者が存在し得ない、運営と自分だけのマンツーマンのカクヨムなどありえないことは言わずもなか   

 現時点でそうであるように、その時点でカクヨムは荒れる。

 他の参加者をスケープゴートとすることでしか自分が落選したという事実にケリをつけられないようなユーザーが渦巻くコンテスト会場など、すぐに一般社会から隔離の対象として見られ、あそこには近寄るべきではないという正しい評価を下されることだろう。


 他のユーザーやカクヨム運営そのものをスケープゴートとせずに作品を投稿した「回収業者」たちを満足させる方法はあるのだろうか?


 そもそも投稿者たちは、かどかわさん及びこのサイトとそこでのコンテストに、なんの力があると思ってカクヨムを選んだのだろうか。

 当然、「商業化を実現する力」である。


 では、かどかわさんはその力を実際に持っていたのだろうか?

 カクヨムに参画しているレーベルを見て落胆している人々が大勢いる。

「求められているのはライトノベルだけじゃないか」と。

 そう、答えはそこで既に出ている。

 カクヨムには「商業化を実現する力うれないものを売る力」などないのである。


 売れるものが欲しい、それを見つけて売る。

 どこの会社でも、それがコンテストを行っている表向きの理由である。

(既に大賞が内定している作品に箔を付けるため、とかいう裏の事情はまあここでは無いということにしておく)

 つまり、商業化を実現する力を持っているのは、売れる条件を備えたその掘り出されるべき作品そのものであり、今や斜陽となったジャンルを商業化するほどの絶大な力など、かどかわさんですら持ってはいないのだ。

 むしろ、売れる作品を見つけて、そこにかどかわさんが広告費をぶっこむというのが商売の流れだ。となればもちろん、作品の持つ「商業的な力」に頼ろうとしているのは、かどかわさんのほうも同じなのである。


 現在のカクヨムはまるで、運営とユーザーという二人の幼子が、互いに相手を保護者だと思い込んで、互いに相手に頼ろうとしているかのような複雑な状況である。(←ネタになりそう)


 仮に、カクヨムがユーザーたちの最も望む通りに運営業務を行い、最善を尽くしたとしたらどうだろうか? それで全ての負債は返済できるのだろうか。

「今後はユーザーの作品を紳士に評価し、一人でも多くのユーザー様に商業作家としての舞台に上がって頂けるよう最善を尽くして参ります」

 そのときの文面はこんなところだろうか。

 これがうわべだけの発言でなく、心からそのためにカクヨム運営が努力したとしたとしよう。

 結論は、それでもユーザーを満足させる返済は到底不可能なのである。


 そもそも、真実の評価をしたところでユーザーは満足などしない。

 商業的に見れば、お客様が買ってくれるものだけがプロの商品なのであって、ユーザーが勝手に自分たちで評価のラインや方向性を決めてプロレベルの文芸だのそうじゃないだのと騒いだところで、買ってもらえる見込みがなければ全てまとめてアウト、どれも落選である(運営の自作自演レビューである場合を除く)。


 その真実を突きつけたところで、その情報の価値が、執筆に費やしたコストと等価だと感じて満足するような人間などそうそういない。

 なぜなら、その答えには、次なる道を踏み出すための情報的な価値がゼロだからだ。


 これが学校のテストならば、確実な答えがあり、確実な道のりがあり、返ってきた答えは自分をより高みに導くための間違いようのない絶対の情報として君臨する。

 文芸において、それだけ確実な価値を持った答えを出せる審判が唯一、かどかわさんのみだとすれば、たとえ高額を支払ってでも人々はそこに群がるだろう。

 しかし、周知の通り、カクヨムに並ぶレーベルが求める今の出版界で「売れるかどうか?」とはそういう明確な答えを持ったものではない。

 この、大海で沈没船を探すような行為では、自分が探した地点に答えがないと知ったところで、ではその答えが本当はどこにあって、自分の場所からはどうやってそこに行ったらいいのかの参考になどまったくならないのだ。


 だから、返ってくる通知には、情報的な価値が無い。

 だから、カクヨムで公正な審査と企業対応があったとしても、そのリターンである情報の価値はユーザーが執筆と投稿に支払ったコストをはるかに下回るのだ。


 だから、カクヨムには負債を支払うことはできない。

 カクヨム独力では、だ。


 カクヨムには支払えない、ユーザー本人もスケープゴートにはならない。

 では、どうしたらカクヨムはユーザーを期待させただけの負債を返済することができるのだろうか。


 手段ははじめから一つしかない。

 ユーザーがユーザーに返済する仕組みを作ることだ。

 ここで勘違いしてはいけないのは、仕組みを作る、つまり低きに流れる水に対して、「自重で動かして流れを作る」ことだ。



 ここで、念のため無能ちゃんケースを紹介しておく。

 無能な運営者であれば、業者を雇って水をかき出せばいいと考えるかもしれないが、それではユーザーの増加に伴って作業量の限界が訪れる。

 やがて業者は、作業量の増加に対して作業の質が低下し、自分の作業を圧迫するユーザーを排斥する方向へと変化せざるを得ないだろう。それを予防するためには、増え続けるユーザーに対して常に人件費を上乗せし続ける覚悟で望まなければならない。


 だがそんな行為は、治水工事を行うべく将軍家から借り受けた人件費で、雨が降るたびに川から水をバケツリレーで運び出すことを指示する“大名ちゃん”のように愚かな行為だ。幕府も斜陽のこの時期に、年貢を納める民衆がそのような愚かな統治者にいつまでも従っているとは到底思えない。

 いったい5億の小判はどこに消えたのか。

 笑っているのはバケツ業者だけである。

 某銀行員が江戸時代に実在したら確実に回収される案件である。

 維新は近いぜよ。



 さて、もちろん有能なカクヨム運営スタッフがそんなばかなまねをするはずがないので、ユーザーがユーザーに完済するシステムの青写真のいくつかはここで紹介するまでもなく持っているだろう(煽り)。


 返済が可能かどうかの要は、返って来る情報に価値があるのか、ないのかである。

 先に述べたような、「自分をより高みに導くための間違いようのない絶対の情報」のような価値を持った情報をユーザーにリターンをすることが仕組みシステムの目的となる。


 さて、実際にそれを可能とする方法のいくつかぐらいは挙げておこうと思うが。(H28/5/17カクヨムについて様々な情報か手に入り、それをしても無意味だということが明らかになったため、次回この手段については語りません)


 今日はここまで。

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