夜行列車
四季 巡
夜行列車
列車が線路を軋ませながら、夜空の下、走っている。
冷えつく冬の夜、降っては積もる雪に闇は白く塗り替えられていた。
窓から覗ける風景は、山辺から見下ろした森である。
昼間であれば、冬を越そうと必至に生きる、梟や鹿などの動物が見られるが、夜の視界は悪く、せいぜい雪の被った枯木程度しか見れない。
それでも、風情を感じさせる自然には、未知数の神秘を感じさせられる。
椅子に座り、立膝をついて見やる景色が僕は好きであった。
考えず、感じるままに受け取れる色彩。
無意味に問う事もせず、呆然と過ぎ行く時間を、列車が過ぎ去り、奥へ消えてゆく景色のように捉える。
線路の軋む音、時々聞こえる秒針の音。全ては今にしかなく、無駄だと言い捨て、決めつけるには惜しいものであった。
それでも欠伸は口から洩れて、退屈には耐えられそうにない。
きっと、それらを。
僕らは無意味と呼んだ。
夜行列車 四季 巡 @sikimeguru
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。夜行列車の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます