夜行列車

四季 巡

夜行列車


列車が線路を軋ませながら、夜空の下、走っている。

冷えつく冬の夜、降っては積もる雪に闇は白く塗り替えられていた。

窓から覗ける風景は、山辺から見下ろした森である。

昼間であれば、冬を越そうと必至に生きる、梟や鹿などの動物が見られるが、夜の視界は悪く、せいぜい雪の被った枯木程度しか見れない。

それでも、風情を感じさせる自然には、未知数の神秘を感じさせられる。

椅子に座り、立膝をついて見やる景色が僕は好きであった。

考えず、感じるままに受け取れる色彩。

無意味に問う事もせず、呆然と過ぎ行く時間を、列車が過ぎ去り、奥へ消えてゆく景色のように捉える。

線路の軋む音、時々聞こえる秒針の音。全ては今にしかなく、無駄だと言い捨て、決めつけるには惜しいものであった。

それでも欠伸は口から洩れて、退屈には耐えられそうにない。

きっと、それらを。

僕らは無意味と呼んだ。

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夜行列車 四季 巡 @sikimeguru

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