僕を照らしていた光
@suzme
第1話
お日様が明るく照らしてくれていると思っていたのはいつ頃だっただろうか、今では薄暗く気味の悪い雲空を照らしている。その陽光は分厚い雲に遮られ自らの行き場を失い、もがき苦しんでいる。それは、まるで今の自分を暗示しているようだった。ある夕暮れの刹那、僕が夕飯の買い出しに行くと、ある少女に出会った。彼女の煌びやかな笑顔は、太陽のようで、美しい人だった。
僕は思うよりも早く言葉を発していた。
「どこに住んでいるんですか」
やってしまった。自分でも恥ずかしい。彼女も相当引いているだろう。
しかし、彼女はこう答えた。
「あなたの知らないところです。空をズーッとズーッと行った先にあるところに、家があるんですよ。
なんて、嘘です。この坂を上った先に住んでいるんですよ。」
僕は、彼女の冗談交じりの返事に何か懐かしさを覚えた。
そこで、思い切ってみようと思った。
「どこかで会った?」
彼女は動揺しているようだった。
初対面の男に異様な質問をされているのだ仕方がない。
彼女は答えた
「光、私のこと知ってるの?」
僕は動揺した。
何故名前を知っているんだ?
自分の付き合ってきた友達にこんな子はいなかったはずだ。だが、何か懐かしさを覚える。
「ごめんよく覚えてなくて、、名前を教えてくれない?」
すると彼女は怪訝そうな顔をし、こう答えた。
「ごめん、やっぱり覚えてないよね。ううん、
なんでもないの気にしないで、、、あっ私の名前は陽っ 君野陽。太陽の陽でひかりって読むのっ!よろしくね!!」
なぜだろうか、彼女の笑顔は見慣れているもののような気がしたのだ。しかしここで深く食い下がってもしょうがないと思い、その日はアドレスを交換して帰路に着いた。
家に帰り、いつものように1人でご飯を食べ、いつものように1人で風呂に入り、いつものように1人で寝床についた。
いつもに染められた生活。そんな生活が僕は好きだった。母が死に、非日常の苦痛に気づき、
また、日常のありがたみに気づいた。
そんなことを思っていると、新しい非日常が、僕の元へとやってきた。 メールの着信音だ。誰からだろう?
差出人の欄を見た。 from hikari
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