ある春の日

 覚えのない朝が明け、花びらの舞う道を歩けば

 生まれたての学生達が今日もまた時間と戦っている


 雪も解け、花も散り、山は目覚め、

 そして空は青く軽やかで


 ああ、こんな日は気分のよい音楽を引き連れて

 懐かしい記憶の内に残っている過去の世界へ旅立とう

 色あせた思い出が消えてしまうその前に


 久しぶりに訪れた彼の地も変わっていたりそのままだったり

 時の流れは誰にも平等に訪れる


 変わっていく友

 変わらない自分

 うつろいゆく季節

 繰り返す毎日


 何かが変わって何も変わらなくて

 それでも愛に包まれて今日も一人

 風に心を乗せれば何もかも洗い流されて


 猫も恋するこんな季節、月夜にいくつの愛が囁かれるのだろう

 春の月は何だか妖しげで不思議な魔力を秘めている


 僕はただ自分の事だけで精一杯で恋の話の一つもないけれど

 毎日充実していてそんなのどうだっていいんだ


 そしていつの間にか朝がやって来る

 いつ来たかなんてさっぱり覚えちゃあいない

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