総評、そして……?
「いやー、若返りの湯を何とか買えましたよ~。見てください、この市の花が彫られた瓶! この中の液体を浴びるだけでいつでも温泉の効果が発揮する優れものなんですよ~」
「お土産の話はどうでもいいから、側近。審査の話をしてくれ」
「あー、はいはい。わかりました。まず第三位は、ダークウィザードさんですね。ショートホラーの出だしをテーマにした天丼ネタです。普段はスケルトンさんがこういうのをやりますけど、今回はスケルトンさんが審査落ちしたのでここぞとばかりにネタを開拓しに来たみたいです」
「なんて図々しいパクリ根性……」
「第二位は第二章『アーカルディア王国編』にありそうなタイトルネタを攻めたグレムリンさん。幅広く攻める事の出来る王道テンプレで攻めてきましたね。なんかこのノリで第三章『海洋都市フォルディーン編』とか続けることもできそうです!」
「思ったんだが、その街名はどんな基準で付けられたんだ……?」
「フィーリングだそうです。WEB小説の王道ですね」
「適当かよ」
「そして第一位は町の入り口に立ってそうな兵士を演じた、常連の大サソリさんが選ばれました! こういう無駄に絡んでくるけど大して出す意味がキャラって、素人のWEB小説っぽくていいですよね。第二章『アーカルディア王国編』感が出てきて非常にお気に入りです!」
「なんでグレムリンのアーカルディア王国ネタがこっちにも出るんだ……。お前ら仲良しかよ」
兎にも角にも第五回優勝者の大サソリに、皆で温かい拍手を。なお優勝した大サソリには五万円分の熱海旅行券、そして「こんど機会があったら茶番パートでメインキャラっぽい立ち位置に立てる券」を贈呈しよう。
「なんか今大会、舞台だけじゃなくて商品もよく分かんなくなってる」
「さて、サービスシーン満点な熱海編も無事終わりましたねー。魔王様、今回の大会も楽しめましたか?」
「サービスシーンがサービスになってなかったし料理係で忙しかったしでそれほど楽しめなかったぞ……。最近は扱いが悪いし、もっと我へのサービスを充実してくれないか」
「そうですね。次回大会あたりは魔王様に重要な役どころをあげても良い頃合いでしょうか。インプ様……じゃなくて、会長さんも新展開は欲しいでしょう?」
ウム。そこまで言うなら次回は魔王を使って子供に見せられない過激な茶番でも繰り広げるとしようか。
「……いや、そういう方向で扱いを良くされても嫌だぞ!? 我の過激なサービスシーン見せても読者は惹かれないだろ!」
でも、そろそろ警告タグ付くような新展開を作らないとこっちも台本作りに飽きてきちゃうからさ。ここで一度、魔王の新たな一面出した方が楽しいんだよなぁ!
「そういう悪ノリするから読者離れ起きるんだろ! ええい、これでも喰らって大人しくしろ!」
(ビュンッ!)
う、うおぉっと!? ……おい貴様、我が輩に若返りの湯をぶっかけるとは無礼だなっ!
「ちょっとちょっと魔王様。私の買ったお土産を投げないでください! 高かったんですよ?」
「弁償ぐらい後でする。だが我だってムカついているのだ、これくらいしなければ気が収まらん。……ところで、さっきのセリフ後に鳴った効果音はなんだ。投擲音か?」
「あ。あれは大トカゲさんのB級投擲音モノマネですね」
「あいつ、いつまでB級効果音に命かけてんだ。もっと幻想生物としてのプライドを持っ――――――
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