俺の青春はラノベのようにいかない

小早市 聖

第1話

私の持論では、青春は地獄と天国に分かれている。

そして今日は青春の地獄と天国の分岐点に立っている。

今日は何の日か分かるだろうか?

わからんだろうな。そりゃそうだ。まだ最初のページだからなうん。

それなら教えてやろう。今日は弦澤中学校の卒業式。

そして俺の好きな先輩が、卒業する日。

分かって頂けただろうか?

私は今日その先輩に告白するのだ。

時刻は午後七時数分前。

七時に駒沢オリンピック公園の豚公園の前の大きな時計前に集合の約束をした。

そう約束をした。しかし何故だろうか?

五分、十分と時間は刻々と過ぎていく。

もう約束の七時はとっくに過ぎている。

つまりこれはなんなんだろうか。“地獄”だったということか?

この日から俺、霧越勇神きりごえはやみの青春という歯車は狂い始めた。

ついたあだ名は「失 恋男」

いじめを受けたとかはなかったが、とにかくいじられた。そしてこのあだ名は一生いじられるのだろう。









中学校を卒業し、この街世田谷区に引っ越してから早一年。時というものはあっという間に過ぎるのだな。

父は海外にある本社への移動ということで海外へ。

そして母とは最初、一緒に暮らしていたのだが、家を出て行ってしまった。

(後日談、父に会いたいがために、父の会社に就職し、今は海外で父と夫婦円満な生活を送っている)

ということで、今は父が昔買っていた一軒家に妹二人と暮らしている。

前の場所も東京だったのだが、世田谷区は、二十三区の中では住宅街であり、二十三区の中のでは一番の田舎だ。

元いた友達と連絡はとるが部活やなんやらで忙しく、しかも遠いため一度もあったことがない。

勿論部活をやっているのは俺ではないが。

かれこれそうやって一年間世田谷という地で住んでいたのだが、この地は本当に何にもないし、あえて言うならでっかい公園がいっぱいある、そんぐらいだろう。

そんな退屈な高校生活も二年目に入った。残念ながら友達と言える人は少ない。しかも少ない友達とは同じクラスにはなれなかった。

まぁでも元から退屈な高校生活がもっと退屈になっただけだ、気にすることはない。

事前に配られていたクラス分け発表の紙をしまい、俺の通っている私立狩ヶ自由高校の正門をくぐった。

………ゴツン

「お前は何かっこつけてんだ」

校門をくぐると血相を変えた生活指導で担任の草津譲くさつゆずる先生が立っていた。

それもそのはず、登校時間を上回っているのだから。


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