その日その日

@pwveh

序章

 カクヨムに小説を投稿するにはジャンルを一つ選ばないといけないので仕方なく便宜上「現代ドラマ」を選択しただけなので、現代社会を舞台にしたドラマティックなストーリー展開を期待した人は直ぐにブラウザを閉じるといいでしょう。だいたいジャンルなどというものは他人が勝手に付けるのならばともかく、作者が自ら名乗るようなものではない。ジャンルを意識して書いたこともなければ、何というジャンルで呼ばれようと全く気にもならない。だからジャンルなどカクヨムの方で勝手に付けてくれればいいと彼は思うのだがシステム上そうもいかないので「その他」にしようかと思ったら「その他」は実用・ビジネス・詩・童話などと書かれておりどうもこれは違う、ならば「エッセイ・ノンフィクション」にしようか、しかし人によっては随筆のように読むかもしれなくともこれは随筆でもノンフィクションでもない、少なくとも創作ではある、本当は「ジャンル無し」が選べれば一番いいのだけれども「ジャンル無し」は無いので仕方なく現代の事さえ書いてあれば何でもよさそうな「現代ドラマ」を選んだだけのことである。

 それにしてもこんなところで素人が書いたものを誰が読むというのか。こんなものを書いて何になるのか。書いたところで誰が読むのか。少なくとも一人は読むであろうその一人とはこの文章を書いている彼に違いないが彼は一体何のために書いているのだろうか。他に読者はいるのだろうか。誰に向けて書いているのか。いまのところ誰にも読まれていないこの文章が誰かのために書かれているとすればそれは他でもない彼のためだろう。彼以外の読者らしい読者など存在しないのだから。それは彼ばかりでなくカクヨムの投稿者一般に言えることではないか。こんなところに投稿して読む人がいるとでも思っているのか。誰が興味を持つというのだ。私は興味がない。彼はカクヨムで一人の小説を読み、それからIDを作った。その後ただの一編も読んでいない。今後も読むことはないだろう。彼の家には読もうとしている本が沢山あって、また次から次へと買うものだからカクヨムで小説を探している暇がない。読む時間はもっとない。

 そもそもこれは小説なのか、随筆なのか、そのどちらでもないのか。いまはまだどちらでもないし、どちらになるのかなろうとしているのかわからない、彼にもわかっていない。どちらかにしようとか、決めようとか、彼は思っていない。彼は小説だとか随筆だとかそういうものはどちらでもいいと思っている節があるようだから、小説を書いていても随筆のように読めてしまうこともあれば、随筆を書いているつもりでいてもいつの間にか小説が始まっているのだが、彼が言うには小説の中に随筆が内包される、あるいは反対のことが起こらなければつまらない。つまらないというのはそこで小説が閉じてしまう。小説は自らを閉じようとする作用によってその形を保っている。彼は小説が収縮する圧力に内部から抗うように、外部との世界との接続を試みていた。果たして外部と接続するとはどういうことなのか。それは読んでみなければわからない、いや読んだところでわかるものでもないのだろう。

 しかし一体こんなものを書いて何になるのか。彼はちゃんとした、所謂小説のようなものを書けないから書いているのだ。そう思われたって仕方がない。実際そういうことをしているのだから。ここまで読んだ奇特な貴方に聞きますけどこれ読んでいて面白いですか? 私はまだそんなに面白くはないんですけど、そのうち面白くなってくるでしょうか?

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