第17話「どうしてこうなった」

どうしてこうなった。


ことは先日の食堂コンテスト優勝から。

ミナちゃんのところの食堂屋料理が審査員たちに認められ、次の中央大陸で開かれる大料理大会への出場券を入手した。

ミナちゃんはかなり喜んでいて、大料理大会の時も一緒に来て協力してくれと言ってくれた。

もちろんオーケーしたし、それまでにオレの方でも新しい魔物栽培を試してみようと思う。

大料理大会は数ヵ月後に開催予定とのことなので、それまではここでのんびりできそうだし。

そんなこんなでその日はミナちゃんが振るう豪勢な料理を食べた後、家に帰るとすぐに眠ってしまった。


で、次の日、目が覚めるとオレの前に美少女がいた。


「……おはようございます。目が覚めたのですね」


えーと、これはどういうことかな。

しかもこの子、どこかで見たような気が。


「ぐ、グルメ勇者さん?! なんでここに?!」


思わず飛び上がり背後の壁に激突してしまう。


「決まっています。昨日あれからキョウ様のことを聞き、ここに住んでると知り駆けつけた次第です」


キョウ様? いまこの子、様付してた? なんで?


「昨日は私、自分の未熟さを知ると同時にキョウ様のような素晴らしい発想の持ち主がいることに感服いたしました。私はこれまで高級食材となる魔物を狩り続けていましたが、まさか栽培次第で普通の魔物があそこまでの食材に変わるなんて想像もしていませんでした。しかもただ栄養を与えるのではなく、その真逆の方法を取るなんて、生まれて初めての衝撃でした」


気のせいかこの子にじり寄ってない? しかも今見ると寝間着姿なのか相当薄着だし、というか完全に壁に追い込まれている。


「あ、ああ、それはどうも。と、ところでグルメ勇者さん」


「フィティス、とお呼び下さい。キョウ様」


艶かしい唇を近づけながら名前を告げるフィティス。


「ああ、それでフィティス。なんで、オレのところに?」


「決まっています。今日からキョウ様と一緒に住まうためです」


はい?


「あの魔物を栽培する知識。ぜひとも私にも学ばせてください!」


「い、いや、学ばせてくださいって言われても、そんな大したものじゃないし、あとうちは見ての通りのボロ屋で……」


「構いません。敬服するキョウ様と同じ屋根の下にいられるのなら、たとえ無人島であろうとも私は」


となぜかそこで頬を赤らめるフィティス。

ど、どうしよう、この展開。


「キョウ、昨日はすごかったじゃない。キラープラントにあんな性質があったなんて、アンタのこと結構見直し……」


と、そこで扉を開いて現れるリリィとミナちゃん。

あー、うん、ある意味、最高のタイミングだね、君達。

後ろではドラちゃんが「はわわっ」とか言いながら目を覆い隠している。


「な、なにしてるのよ! アンタ!」


顔を真っ赤に染めて抗議してくるリリィ。

ミナちゃんはというとショックのあまり倒れそうになってる。

とりあえず誤解だと叫ぼうとした瞬間、先に行動を起こすフィティス。


「改めまして、私、キョウ様のところでしばらく厄介になります。グルメ勇者のフィティスと申します。どうぞ今後ともよしなに」


「は、はあ?! キョウ、アンタいつのまにこいつとそんな関係に?!」


「ご、誤解だ! オレは住んでいいなんて一言も言ってないぞ!」


「ご安心をキョウ様。私が一緒に住んだ暁にはキョウ様の身の回りの世話はすべてお任せ下さい。もちろん、料理に関しましてもグルメ勇者に相応しい腕を振るってごらんにいれます」


あ、それはちょっと食べたいかも。

なんて思ってるとショックから立ち直ったミナちゃんが割って入る。


「き、キョウさんのご飯が私が作っていますからダメですー!」


「ですが毎日食堂に通うのもキョウ様も大変でしょう。朝と夜だけでも私がキョウ様の担当に……」


「ていうかキョウ、アンタ、様付って……ど、どういうプレイよ……!」


「うう~! ご主人様~! 私というものがありながら~!」


と最終的にはなぜかドラちゃんまでオレの頭に引っ付いて抗議をしだす。


異世界に来て魔物を栽培して気づくとハーレムも出来、異世界生活も賑やかになりつつあります。


うん、これもハーレム……なのかな。

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