第4話「折角だからオレはこのゴミ箱を選ぶぜ!」
「やべぇよ……やべぇよ……どうすんだよ、これ……」
というわけで街のすみで頭抱えているオレです。
多分これオレステータス普通に弱い上にスキルも0だわ。
その上、手持ち金もゼロで知り合いも助けてくれる人も誰もいないこの状況。うん、確実に詰んでる。
普通ならここで美少女とかと出会ってなんとかなるーとパターンもあるんだろうけど。
あいにくだったな!そんなフラグはないぜ!
「というか真面目にどうしよう。すでに腹が減ってきた」
先ほどのアホな検証という名の戦いで動き回り、かなりお腹がすいてしまった。
このままでは餓死ENDも近いかもしれない……。
「いや、背に腹は変えられない。一度食堂に言って話をしよう!きっとオレみたいな哀れな冒険者に同情して一度のタダ飯や、バイトの代わりに食事というパターンもあるかもしれない!うまくいけばそこに住み込みで働き、今度こそオレの物語が始まるに違いない!」
特に始まりませんでした。
金がないなら出て行けと追い出されました。
あれー、異世界物ってもっと楽に色々できると思ってたんだけどなー。最近の異世界物もやけにリアルな要素多くなったし、その影響かー?
いやー、いいよオレー、そういう変にリアル要素つけて重くするパターン。もっと気楽に見られる話とかが好きだからさー。
とそんな風にトボトボ路地を歩いてるとさっきの食堂の裏口とその横にある余った食材を捨てるゴミ置き場があった。
…………。
「いや、いやいやいや、ない。ないないない。どこの世界にそんな裏口の残飯漁る主人公がいるんだよ」
そもそも自分を主人公とか言ってる時点で色々あれかもしれんが、そこは突っ込まないでくれ。
誰しも自分の人生は自分が主役なんだからさ……。
と、見てるとさっきオレを入口から投げ飛ばした店主が裏口から出てくる。
急いで物置に隠れるが、おおおお!店主のオッサン!アンタが手に持ってるそれパンの耳ー!しかも大量ー!!それ捨てるくらいならオレによこせよー!!なにが無一文に食わせるモンはないだ!捨てるものはあるじゃねーかよ!
と見てるとオッサンが大量のパンの耳をゴミ箱に捨てた。
オッサンがいなくなったのを確認するとオレは早速ゴミ箱を漁る!先程までのプライドなどこのゴミ箱に捨てるぜ!
というわけで食料ゲット。まあ、今日明日はこれでいいかもしれんが、さすがにずっとこうしてゴミ箱漁る人生なんて辛すぎるぞ……。
折角異世界転生したってのに前の人生よりもこれ墜落人生じゃねーか。
なんとかもうちょっとマシな形ないかなー。
と考えていたら、ゴミ箱の中から腐った食材の中、ちゃんと形あるものを発見した。なんぞこれ。
「んー……これは……種、か?」
多分なにかの野菜の種なんだろう。料理する際、食べられる部分だけを取り、残りは捨てた。
その残った部分にくっついていた種だろう。まあ、野菜の種とか大抵は食べられないもんな。
食べられはするが美味しくないし邪魔なのがほとんどだからな。
「待てよ、閃いた」
ちょっとこれ天才的な発想かも。金がなければ食べ物も食べられない。そして金を稼ぐには魔物を倒すしかない。
ならば発想の転換。最初から食べ物そのものを作ればいいんだ。
こうして育ててな!
「よっしゃあ!これ行ける!俺の異世界ライフちょっと明るい希望が灯り始めたぞー!オレはこの世界で異世界栽培を始めるぞー!!」
というわけでオレは異世界での初の農業。野菜栽培を始めることにしました。
ええ、この時までは野菜だと思っていましたよ。野菜だと。
入手品:
???の種×50
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