第118話 カインさんの為に。
一度呼び戻したモリーに魔導盗聴器盗撮器を預けて更に鍛練をした。
動いて動いて、疲れきって座り込む。
息が切れて肩が上がる。
もう一度立とうとしてふらついて結局休憩することにした。
どれだけ動いても安心できなかった。
~♪
そこにお母さんからメールが届いた。
柴犬ナツコの写真も添付されていて山盛りの餌皿を前にお座りして待てをする姿に少し
「ちゃんと食べてるの?、か…」
体調を気遣う文面に僕は深く息を吐いた。
母には異世界に来たこと、ここで生きていくことを伝えたけれど…今の詳しい状況は教えてない。
日本とは違う植生や魔物の話はしたし魔法が使えたことも写真を撮って送ったけど日常の当たり障り無い程度の事。
それでもなにか感じるものがあったのか届いたメールは僕を心配し諭す母の様子がありありと浮かぶ。
焦るときこそ冷静に。
急がば回れ。
正しくカインさんの為になるように。
僕はまた深呼吸して、ありがとうと返信を打った。
カインさんは王子なんだから酷い扱いは受けないだろうけど、ご飯とか用意しておくのもいいかもしれない。
そうだ、甘くないプリンとか気に入ってたみたいだし。
ああそれにあの食堂トワイスのご飯をお弁当にしてもらうのもいいかも!
思い付いた事を早速実行するために僕は久しぶりに料理を始めた。
気づけばあれから自分で作らずに宿の一階から届けてもらう簡単な食事ばかりだった。
僕はしばらく料理に夢中になった。
ひとしきりカインさんの好物作りをした後で、自分達のぶんを作る。
保存は亜空間収納にお任せなので材料がなくなるまで作り溜める。
忙しくても焦っていても、体が資本。
助けが足手まといになったら意味がないもんな。
焦りすぎて目が曇っていた。
さて後は何が必要だろう?
食料有るし魔法できたし体術の確認も…あ。
カインさんに渡す防御アイテム、僕が作ったアクセサリーじゃなく神様にもらったアレを使っても良いかな。
重なる対の翼は固定されてないから一つずつつに分けるのは簡単だ。
銀の翼の付け根辺りに魔導石を埋め込む。
神様からのプレゼントだからか結界があるみたいな空気抵抗を感じたけどカインさんの為に力を貸してくださいと念じながらグッと押し込むと受け入れてくれた。
一応メールで許可はもらったよ?
神様に聞いたら一度だけ危機を救ってくれるペンダントを二つに分けたけど、効果は変わらないって。
でもパワーダウンするだろうから翼を通すチェーンに回復とかの光魔法を付与する
素材は
数日
亜空間だから周りを気にする必要もないからね!
思う存分魔改造したタリスマンは五芒星に光属性の白い魔導石を抱いて翼で
細かい
「よし、出来た…あ、この小さいのもつけようかな。カインさんと選んだやつ…」
あらかた準備の整ったところでどうやってカインさんのところに行こうかと考える。
無罪の証明をしてからだけど。
正面から突っ込んじゃおうかなんて物騒なことを考えたとき、モリーが現れた。
使い魔と主人って魔法的に繋がってるから魔力の痕跡をたどって大体の場所がわかってれば転移っぽい移動ができるらしい。
目の前に浮かんだ魔言と五芒星の魔方陣からスポッとモリーが出てきた。
「チュチュチュ、主よ、来客や」
「え…誰が?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます