第106話 神様とメール…からの~?
ここと決めた宿で僕はガラケーを手ににらめっこをしていた。
あんなカインさん初めて見た。
いつも優しくて強くてかっこよくてお兄さんみたいに頼りになる人。
チャラい雰囲気で気軽に声かけちゃったけど僕の事情を真剣に心配してくれた。
根掘り歯掘り聞く訳じゃないけど守ってくれてる。
そんなカインさんの初めて見た無表情に何故か胸がざわついて仕方なくて。
神様とメールしてみようと思った。
「神様、カインさんが顔ナシに!」
『我神様☆何か相談?ってはい?』
「いやえっとだから顔が固くて」
『は?』
「あのそのえっと」
『まあ落ち着け』
「あ、神様(上司さん)」
『とりあえずアップデートしてもっと使いやすくするからちょっと待ってな』
「はい!ありがとうございます!」
ちまちまメールを作っては送受信してたんだけど神様(上司さん)がガラケーをアップデートしてくれて、なんとライン使えるようになりました。
ええと、本体はガラケーなのにスペックが高いです。
改めて聞いてみるとこのガラケーは僕専用の魔導具扱いらしい。
僕が持っていれば自然と僕の魔力を吸い取るから充電要らずで便利だ。
機能はスマホ並みでタッチパネルかキー入力は選べるし折り畳みフラップのままで使いやすい。
『VR系の半透明仮想ボードにも出来るがガラケー気に入ってるみたいだからそのままにしたぞ』
「わあ、ありがとうございます!」
『ちなみに緊急時などは望めばしまっていても仮想ボードで使える仕様だ』
おお、すげえ。チートか。久しぶりに。
『それで何があったんだい?我なんでも聞いちゃうよ☆』
「…」
『慌てず順を追って話すといい』
「…はい。カインさんの知り合いらしき人にあったので宿に入る前に別れたんです」
その雰囲気が不穏で心配になったんだけれど、二人で話に行ってしまったから事情を突っ込んで聞くこともできずただただ気を揉んでいるだけで。
何をしたいともできるとも言えないしそのくせ気になって落ち着かず。
だからこそ心情を吐露することになった。
…神様に。
『で、何かしたくても結局手出しするほど何ができるわけでもないと自省して落ち込んでいる、と…』
「はい…」
心配するばかりして何の役にも立たないじゃないか。
だから。
「修行したいんです」
『………修行、ね』
「前にデリカ先生に教わったときはまだ目的はお風呂だけでした。でも今はカインさんの役に立ちたい。隣に立って支えられるような人間になりたいんです」
まごつくだけ見ているだけの存在でなくピンチには支えて一緒に進んでいける存在になるために動こう。
職業魔法使いになるだけじゃなくその先の将来に、カインさんの隣に在れるように。
『…』
『ふむ。俺たち神は直接下界の者に手出しはできない。根元が揺らぐ』
「はい。ただ決意を固めたくて誰かに聞いてほしかっただけなので…ありがとうございます」
『…ふ、なるほど。こいつが肩入れしたがるのもわかるな』
「はい?」
『いや、こちらのことだ。神は直接手を出せない。が、間接的にならできないこともない。条件によってはだ』
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