第31話 ファンタジーは楽しいだけのもの?

 どう説明したものかとアワアワしたけれど、カインさんがうまく誤魔化してくれてなんとかなった。

「すいません、カインさん…」

「いや、今のは仕方ないよ。俺も考え無しに魔拳銃すすめちゃったし」

「いえ、それは」

 そこまで言い返して苦笑する。

 多分お互い様なんだ。

 そういうことにしないと言い合いが終わらないから。


「…ありがとうございます」

「…どういたしまして」

 カインさんもそれに気がついたのだろう。

 同じく苦笑で返してくれた。

「ん、じゃあ次あれなんかどう?」

「わあ美味しそうですね!」


 魔力を使わないもの、買い食いなどをして夜市を楽しんだ。



 一日で色んな職業見学させてもらったけど、やっぱりせっかく異世界に来て魔法を完全に封印するのはもったいない。

 全ては無理だってわかってるけど…。

 せめてこの無駄に多いらしい魔力を活用できる仕事をできたら、と思う。

 正体がバレたら大変だとは思うけど、やっぱり魔法とか使ってみたいのだ!

 もしも全属性がバレたら、逃げよう!

 うんよし明日は魔法を活用した仕事を聞いてみよう!


 その時のノリで決めたことを、後になってとても…死ぬほど後悔するんだけど、この頃の僕は未だファンタジー体験に浮かれて、解っていなかったんだ…。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る