第30話 質より量ってやつですか?

 驚いたことも勿論だけどやらかした惨事にビビりとにかくおじさんに謝った。

 そらもう平謝りだ。

 だってお金を払って終わりだなんてできない。でも他に返せるものもないから出せるものは誠意だけ。

「ごめんなさい!」

「あー…いや、わざとじゃねえだろ?」

「は、はい!ですけどわざとじゃないけど迷惑を…っ」

 わざとでなかったとしても悪気がなかったとしても結果として迷惑をかけたことは事実だから。

 頭を下げ言い募る僕の頭をガシガシかき回しておじさんはからりと笑った。

「坊主。ガキがあんまり大人に気ぃ使うもんじゃねえよ。そうだな、なんなら出世払いでってことで。なあカイン」

「すんません。ガザシさん」

「いんや。活きがいいガキが増えんのは良いこった!ははは!」

 水を向けられカインさんは苦笑して僕の肩を叩く。

 え?知り合いだったの?


 きょとんとする僕を見てカインさんが改めて紹介してくれる。

「こちらはこの街の自警団をやってるガザシさんだよ」

「おう坊主、よろしくな!」

 改めておじさん、ガザシさんを見ると腕捲りしたシャツから覗く筋肉の盛り上がりに憧憬を覚える。

 無造作ヘアって感じの赤い短髪にちょっと無精髭を生やした所もワイルドなちょいワル親父系だ。

 つまりこの人もイケメンである。

 ちょこっと殺意がわく。

 しかしそこは押さえて挨拶を返した。

「あ、初めまして、よろしくお願いします」

「坊主は魔力量がすげえんだなあ」

「はい?」

「あの魔拳銃マジックガンであんな威力普通出せねえかんな」

「あー…はい」

 気さくに話しかけられて困った。

 あの銃はあれで確かに模造拳銃であり実戦に使える訳じゃないらしい。

 全属性の魔法が使えることは確認してたけど、量とか考えてなかったよー。

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