第29話 僕の魔力って…。

「一人一回十発までだぜ」

 屋台のおじさんにもらった短銃と鉛の弾を持って端の方に立つ。

 隣にカインさんも同じように銃と弾を持って立った。

「見てて」

 弾を込めセーフティを外すと足を肩幅に開き右手で短銃を構え左手を添える。

 僅かに間をおきトリガーの上の魔石らしき部分が淡く光り出す。

 行くよ、と小さな合図のあと鉛の弾は発射され見事に的を打ち落とした。


「…っすごい!すごいですカインさん!」

 興奮と共にカインさんに拍手を送る。

 カインさんは照れたように笑ってありがとうというと次は君の番だよと言う。

 イケメンの照れ笑い破壊力パネェっすでも僕男ですけど!

「えっと…こう、かな」

 カインさんの真似をするように半身で的に向かい短銃をぎこちなく構え、左手を魔石に添える。

 自分の中にある温かいものを指先に集中するように念じて目を閉じた。

 腹の辺りからほんのりと熱が左手に移りぼんやりまぶたの裏に光を感じる。

 そっと目を開け狙いを定めるとトリガーをひいた。


 キュンッ

 ちゅどーん!


「……………」

「…………………………」

「…………………………………えっ?」


 音速だか高速だかなんかそんな感じの風切り音の後的の真ん中を少し外した位置に着弾した鉛弾は。


 何か凄い爆発した。


 屋台のおじさんとカインさんと共に、たっぷり十秒ほど固まって出たのは情けない疑問符でしかなかった。


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